和田麗奈

1980(昭和55)年12月22日生まれ、申年、やぎ座、B型、富山県出身。
高校在学中に、美容学校の通信科を卒業。卒業後、東京のヘアサロンで5年間働く。肩を故障し、富山でリハビリ後、退社。東京・祐天寺にて、個室美容院・アトリエ「麗奈の部屋」をオープンした後、現在は、実家に帰省。母が経営する、美容室アグリーエイブルで働く。

幸せ体質

(清水宣晶:) 麗奈ちゃんとは、最初に会ってから、もう随分経つね。

(和田麗奈:) 私って、昔と比べてさ、内面的には変わってない?

カキモト(自由が丘の美容院)に勤めてた時が、どうだったかな。
フリーになった後は、ほとんど変わってる印象はないんだけど。

カキモトに勤めてた時は、何かに追われてて、すごく視野が狭かったから、人間的に面白くなかったんじゃないかと思う。

あの当時は、すごく大変そうだったね。

今、美容雑誌とか見てるとさ、美容院の時の後輩が作品出してたりするの。
あのまま勤めてたら、私もこうやって雑誌に出てたのかもしれない、って思うんだけど。
でも、雑誌に出たからって、自分はどうなるのかっていうとさ、富山の実家とかは騒ぐかもしれないけど、私はあんまりどうっていうことも感じないと思うのね。

うんうん。

で、「ああ、私は今が幸せだ」って思ったの。
最初に追い求めていた目標とは、今の自分は違っているんだけど、
雑誌に出るのって、その陰にはすごく大変な努力があるんだってことも今はわかるし、たとえ雑誌には出なくても、すごい今幸せだよ、って思う。

それ、わかるなあ。
麗奈ちゃんて、そうなんだよな。
いつどんな時でも、常に幸せを感じてるんだって思うよ。
「自分はこんなに恵まれてる」っていう面を見てるよね。

幸せ体質なんだろうね。

それ、子供の時からそうだった?

私、接客業がすごい好きなの。
レストランでバイトをしてた時、店長に「麗奈ちゃんはいつもニコニコしていてすごい」ってホメられて、自分には才能があるんだ、って自信を持てたのが大きかったかな。
親が、好きな仕事をしていて、活き活きと働くっていう環境を見せてくれてたってのもあるし。

オレがすごいと思うのはさ、麗奈ちゃんに髪を切ってもらう時に、
麗奈ちゃんて、必ず何かしら新しい話しがあるんだよね。
別に大きな出来事の話しじゃないんだけどさ、それがすごく面白いんだよ。

私、あんまり大したことじゃなくても、おおげさに表現するみたい。
「このマスカラすごい!」って友達に宣伝して、友達がそれ買ったら「普通だよ」って言われたり。

そうそう(笑)!
それ、麗奈ちゃんが本気で「すごい」って心の底から感動してるからなんだよな。
だから、オレも、話しに引き込まれるんだよ。
あの影響力は才能だと思うよ。

人って、いいことも悪いことも、3人に話さないと気がすまないっていうじゃない?

ん?
それは初耳だな。

私、いいことあったりしたら、早く人にしゃべりたくてしょうがないの。
早く仕事場に行って誰かに会いたい、ってうずうずする。

あー、そういうのって、人によってタイプが違って、
文章で書きたい人もいるけれど、麗奈ちゃんはとにかく話したいタイプなんだろうな。

おねえちゃん(和田清華)と前に話してた時にさ、
「作家の人って、こんな文章がどこから湧き出てくるんだろうね」っておねえちゃんに言ったら、「あなたには口があるでしょ」って言われたの。

そうだよね。
自然と湧き上がってくる表現の手段が、麗奈ちゃんの場合、話しなんだよな。

私がしゃべってることなんて、ほとんどくだらないことなんだけど。

その、何でもないことを面白おかしく伝えられるっていうのが、やっぱり才能なんだと思うよ。

だから、「麗奈ちゃんって、いったい、どんな愉快な人生おくってるの?」って言われるんだけど、でも実際には、いたって普通の生活なんだよね。

そう、麗奈ちゃんってさ、あまり変わったことしないし、
基本的には、すごく普通の生活をしてるんだよな。
それなのに、それだけ話すことがいっぱいあるってのはスゴいよ。

そうね。
日常の中から、感じることがあるんだろうね。
それって、幸せなことね、やっぱり。

興味の対象が狭くて深い

麗奈ちゃんは、「普通じゃイヤだ」って思うことはあるの?
人と違ったことをやりたい、とか。

本当に好きなことが美容だし、接客だから。
既に好きなことをやり続けてるから、あんまり他のことをやりたいって思わないんだね。

麗奈ちゃんの面白さって、行動の面白さじゃなくて、
人間的な面白さにあるから、わざわざ変わったことする必要がないんだろうな。

興味ないことはほんと興味ないの。
人がやってるからって、「スゴい」って思って影響されて自分もやる、ってことはないのよ。

そうなんだよな。
そういう意味で、麗奈ちゃんは、自分が確立されているし、
「ここではないどこか」に行く必要ってのを感じてないんだな。
自己表現とかをする必要に迫られないんだろうね。

そうだね。
今やってることが好きなこと、っていうことが前提だけどね。
「美容」っていう、自分の好きなことが今出来てるから、それ以外のことに興味が湧かないし、それはもう揺るがないの。

しかも、仕事を通じて、人と話すことも出来るしね。

うん。
人と話しながら、髪をキレイにして、喜んでもらって、
っていうのはもう、私にとっては最強の組み合わせだね。
だからもう、これ以外考えられないのよ。

他のことをやろうとは思わないんだ?

思わないのよ、これが、まったく。

だよな。
麗奈ちゃんが新しいことをやり始めるって、今まで聞いたことないもんな。
藍ちゃん(五十川藍子)からは、「今度これを始めました!」って、しょっちゅう聞くけど。

そうなのよね。
だから藍ちゃんには、会う度に、「今は何をやってるの?」って聞きたくなる。
私、「スゴい」って思う人に会っても、「自分も何かやりたい」ってのはないんだよね。
その人の体験した話しを聞いてみたいとは、すごく思うけど。
フットワークが重いっちゃ重いんだけど、興味の対象が、狭くて深いんだろうね。

どこかに面白いことを探しに行くんじゃなくて、
今いる場所を掘っていくやり方だよな。

「色んな仕事を経験して今の仕事を見つけた」っていうのも幸せだと思うけど、
私の場合は、ピタっとくるものが最初に見つかっちゃったから。

自分探しみたいな過程が必要なかったんだな。

そう。
最初のスタートラインで、もう道は見つかってて、その道での自分探しだからさ。
だから、本当に幸せだって思う。
仕事を始めて10年経ったけど、今だにまったく飽きないし、楽しいし。

たしかに。
麗奈ちゃんてさ、他のことにあちこち目移りもしないし、
「私こんなことやってます!」ってブログに書いたりするってこともしないね。

ないない!
面倒くさいんだもん。
文章で表現するっていう選択肢がないんだよね。
書くこともしないし、読み返すっていうこともしない。

麗奈ちゃん、文章を書いても、
きっと面白いと思うんだけどね。

なんか、かしこまっちゃうんだよね。
ああやって、誰かが読むって思うとさ、おもしくない文章になっちゃうし。
あと、何書こう?ってのもあるし。

ああ、そうやって考えるよりは、
バーッて話しちゃったほうが楽なんだ?

そう。だから、バーッて私が話すから、
誰かまとめて、って(笑)。

そうか。
じゃあ、オレがそれをまとめる人になりたいよ。

一番燃えられることが仕事

みんな、仕事以外で何かやってたりするじゃない?
サークルとか、ボランティア活動とか、習い事とか。
そういうのもほんと、よっぽど興味がないとダメだね。

麗奈ちゃん、ほんと、そういうことは手をださないよね。

声かけられてもやらないし、行こうって言われてもあんまり興味ない感じなの。
「人生もっと楽しくなるよ」って言われれば、まあ、それもわかるんだけど、
仕事以上に燃えられるもんがないからさ。

そうなんだよな。
そういえば麗奈ちゃんてさ、趣味もないんじゃないか?

そう!
まったくない。
音楽も詳しくないし、スポーツもやらないし、習い事もしないし。

ホントだな。
それ、スゴいことだよ。
どうなってんだ、いったい?

いい仕事に出会えてるんだよね。
だから、一個しか集中できないし、掛け持ち出来ないんだよ。
みんな色んなことをやりながらバランスとってやってるじゃない?
私の場合、趣味が仕事だからさ。
かなり無駄を省いた生き方をしてると思うよ。

ほんとそうだよ!
まあ、決まっちゃってるからなのかな。
普通は、自分のやっていることに自信を持って「これでいい」って言い切れないから、他にも自分に合うことがあるんじゃないかって、色々探してみるんじゃないかと思うんだけど。

「何か、面白いことあるよ」って声かけられて、一回目は行っても、
二回目は、よっぽど気に入らないと行かない。
だから友達とかも、かなり、ふるいにかけてるタイプだと思うよ。
ちょっと会おうよぐらいで、深くなる人は少ないね。
まず、ピンで会うってことが少ないから。

そうだよね。
自分から声をかけるってことが、あんまりないよね。

狭く深い人なのよ。
交友関係もそう。

それで不思議なのはさ、
麗奈ちゃんて話すのも上手だし、好きなのに、
自分から範囲を広げていこうっていうのはないんだね。

ないね。
そこら辺は受身だよね。

それがまた、面白いところなんだけどね。

髪を切るっていうきっかけがなかったら、どうやって人と会うんだろうって思う。
美容師じゃなかったら、友達まったくいないかも。

職人ぽく、山奥でツボでも作ってたかもね。
接客という仕事に限らず、何か打ち込めるものがあるってことのほうが重要なのかもな。

そうそう。
でも、人とワイワイするのとか大好きなのよ。
学生時代の友達とかと会う時は、私が中心になって、みんなを集めるんだけど。
じゃあ、かといってその子たちとピンで会うかっていったら、めったに会わないね。

不思議だなー、それ。
そうなんだよな。
みんなでワイワイやってるときってのは、
麗奈ちゃんすごく楽しそうだし、人の中にいることに全然違和感ないのにね。

不思議だよね。
ねえ、それ今度、答えが見つかったら教えて。
あー、なんか、今日、話してよかった。
私ってほんと、そんな人だわ。

麗奈ちゃんは、話しながら、自分自身で気づいていくタイプなんだな。
話すことで、考えがまとまるというかね。

自分の話した言葉って、自分が一番最初に聴いてるからね。
だから、一番近くでその言葉を聴いてるのが自分なんだね。
(2008年7月 富山「スシ喰いねェ」にて)


清水宣晶からの紹介】
麗奈ちゃんは、知り合ってからずっと、僕の髪を切ってくれている人だ。
彼女のセンスと腕には絶対の信頼をおいているので、おおまかなニュアンスだけ伝えて、後はまかせてしまう。毎回、少しずつ違った要素が入りながらも、その時に一番ふさわしい髪型にしてもらっている感じがする。
今は、実家のある富山に住んでいるので、髪を切ってもらう時には、日帰りで富山まで出かける。それは、その時々の近況について麗奈ちゃんと話しをしてみたいからという理由が大きい。
麗奈ちゃんは、どんな話題でもごく自然に話しかけて、返ってくる応えに耳を傾けて、感じたことをそのままゆっくりと素直な言葉で伝えてくる。オレはその対話が心地よく、色々なことを彼女の視点からはいったいどう感じられるのか、知りたくなってしまう。
麗奈ちゃんは、特別な生活をしているわけではないけれど、日常の些細な出来事から常にたくさんの気づきを拾い出している。だから、いつ会って話しをしても最近あった感動した話しが出てくる。感受性が極めて豊かな人なのだ。

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