神田誠

1974年、松本生まれ。
2000年、和光大学人間関係学部卒業。
恵比寿に神田治療院を開院し、訪れる人々とのコミュニケーションを重視した治療をしている。

三次元と五次元の関係

(清水宣晶:) かんちゃん、これまで、
数え切れないほど、人の体に触れて治療をしてきているでしょう。
そうすると、人間というものの見え方ってのは、違ってくる?

(神田誠:) 治療をしている時の自分てのは、人間の体を見た時にまず、
皮があって、筋肉があって、骨がある、物体としてとらえていて。
それをどう考えるかっていうと、車と一緒なんだよね。

それ、面白いなあ!

車だとガソリンだけど、
自分たちは、食べ物と飲み物を入れて、それを熱に変えてる。
人間の本体は意識だけど、意識を抜かしたら、あっきーもオレも、車と同じだよ。

そういうことだよね。

ただ、オレたちと車が違うのは、オレたちには意識がある。
違いはやっぱり、そこだよね。

そこで、「体」と「意識」っていうのは、
お互いに、やっぱり関係あるの?

もう、切っても切れない。
俺は、体は三次元のもので、意識は五次元って考えてるんだけどさ。

五次元ていうのは、どういう意味で言ってる?

人間の意識とかイメージってのは、
時間も空間も越えたものだから、三次元よりも上の次元になる。
その五次元のものが、常に三次元に投影されるから、
胃潰瘍なんて、一瞬で出来るんだよ。

一瞬で出来ちゃうの?

ストレスも五次元だからさ、
たとえば、昼間、部長に言われたのあの一言、とか。
時間的に過去で、場所的にも違う場所なんだけど、そういうのを越えて突然、胃に穴があくんだよね。

体と心が直結してるんだな。

すべてがそうじゃないし、色んな原因があるんだけど、だいたいの病気は五次元は関係している。
五次元ていう言葉で言うとちょっとオカルトっぽいだけど、
実際には、すごく、現実的な話しなんだよね。

逆にさ、三次元の現象が五次元に影響することってのもあるの?

もちろんある。
そのために、ヨーガとか、坐禅とかがあるわけで。
所詮、体は三次元のもので、箱なんだけど、
その五感の受容を通して、五次元の意識につながってることもたしかで、それの状態によって、意識出来るものと出来ないものが出てきちゃうんだよね。

時間が解決してくれること

かんちゃんが、高校生の時に事故にあったことと、
今、人の体に関わる仕事をしていることっていうのは関係あるの?

俺ね、今の仕事を始めたのって、
割りと最近なんだよ。

そうなんだ?

事故の後は、普通の高校に通うことが出来なかったから、大検をとったんだよ。
片目が見えないでしょう。で、もう片方の目の視力は、0.02なんだよね。
こうして話していながら、あっきーの顔は見えてないわけ。

なんとなく、わかるという感じ?

本当になんとなく、雰囲気で。

それ、かなり大きな事故だったんだね。

頭の小さい骨も折れたし、背骨も折れたし。
その時はさ、とにかくこの状況を脱しなきゃと思って。
一番つらかったのは、孤独だったんだよ。
友達と一緒に遊べなくなって、周りに誰もいなくなったんだね。

うんうん。

その喪失感が一番つらかったかな。その当時は。
居場所がないし、どこかで自分をリセットして始めなきゃと思って。
それまで、勉強なんかしたことなかったんだけど、
とにかくどこの大学でもいいから受かろうと思って勉強をして、
20歳の時にようやく大学に受かって、東京に出てこれた。

その時って、何をやろうと思って大学に入った?

その頃は、心理学を勉強したかった。
孤独を感じた時に、何が一番辛いかっていうと、社会だったり、他人からの必要性がないってことだと思うんだよ。

そうだね。

出来るんであれば、自分が大切にしたい人たちに、そういうものを感じてる人がいたら、少しでもそばにいたいな、って思う。
だから、大学入る前から、福祉の仕事をしてたんだよ。
卒業した後も、知的障害や、精神障害の人とかの施設で働いてた。

最初は、福祉の仕事をやってたんだね。

そういう仕事をしていて、26~7くらいの時にさ、
ものすごく体調が悪くなったことがあって、でも原因がわからなくて。
その時に、今俺がやってる治療をやってる先生に出会って、
その先生にたくさんのことと学ばせてもらって、働きながら鍼灸の資格を取って。
で、今に至ってるんだよね。

尊敬出来るような先生に出会ったことが、転機になったんだな。

あっきーは、なんでこういう、
人にインタビューするっていうことをやろうと思ったの?

オレの場合、
死ぬまで自分がやり続けたいことは何かってことから考えた。
何か一つくらいは、自分自身のライフワークとして、
一生続けられるテーマを持ちたいって思ってたから。

誰しもがそうだと思うんだけど、
やっぱり、自分にとっても「死ぬ」っていうことは、発想の原点になっているな。
俺は、リアルに「死」っていうものを感じた時間が長かったからさ。

それは、交通事故に遭った時期のこと?

そう。
痛みとか、喪失感とかがあって、
あんまり、生きていたくなかったんだよね、その頃は。
その後だよね、生きるということがリアルになったのは。

事故に遭った当時っていうのは、
それを受け入れるまでに、色々と考えた?

考えたね。
その時は、ウツっぽかったし、精神科にもかかって、
薬もいっぱい飲んでたんだけど。
それで思ったんだよ。
自分たちは、本体は五次元なんだけど、実際には三次元にとらわれている、って。

うんうん。

ツラくなると、ひたすら歩くようになった。
くったくたになるまで、30時間ぐらい連続で歩くのね。
ご飯は食べるけど、止まると、何か余計なこと考えちゃってツラいから。
必死に歩くことに集中すると、ツラいっていうことを感じられなくなって。ひたすら、それをしてた。

仏教の行でも、ひたすら歩き続けるってあるけど、
あれは、余計なことを考えないように体を動かしてるんだろうね。

そう、時間て優しい部分があってさ。
時間が解決してくれることってあるよね。
仏教でも、神道でも、キリスト教でも「祈り」ってあるじゃない?
祈りっていうのは、俺は、待つことだと思うんだよね。
俺は、歩くことによって待ったんだろうと思う。

もし事故の体験がなかったら、考え方も生き方も、
今とまったく違っただろうね。

俺は、2回生きてるって思ってて、
前の自分は、一回死んだと思ってる。
そのぐらい、違うと思う。

うん。

単純に楽しいじゃなくてさ、今の自分が好きなんだよね。
前はどうだったかっていうと、たぶん、好きじゃなかったんだと思う。
今はやっぱり、目が悪くなったことも含めて、感謝してるね。

繰り返しの先に見えるもの

オレ、自分が整体とかマッサージに行ったことないから、
まったく詳しくないんだけど、
かんちゃんがやってるのは、分類でいうと整体なの?

整体は整体なんだけど、
体を三つの要素で捉えるんだよ。
一つは重力の「G(Gravity)」で、外傷とか、普段の不良姿勢とか、そういう構造的な歪みからくるもの。
もう一つは、熱力学の「T(Thermodynamics)」で、さっきみたいに体を車って例えたように、熱力学からの観点からも、人間の体っていうのは説明できて。
そのもう一つ上にインテリジェンスの「I(Intelligence)」があって、それが、さっきの話しでいう五次元だよね

一般にいう整体っていうのは、それで言うと、
「G」の部分を診てるっていうイメージがあるね。

そうそう。
すべて世の中のことって、原因があって、結果があるわけじゃない?
どこに「因」があるかなんだよ。
でも、「G」だけだと解決出来ない問題ばっかりだからさ。
一割二割だね、「G」だけで解決出来るものは。

今やっていることっていうのは、
この原因があるから、この結果が生じる、っていうことを、ロジカルに考えるんだ?

一つ例をあげると、胃っていう臓器があるでしょう。
珈琲のカリウムイオン、冷たいもの、甘いもの、この三要素っていうのは、胃の壁で、強い遠赤外線反応を起こすんだよ。
遠赤外線を起こすと、胃は、正常な機能を保つために、面積を広げて、熱を放散しようとする。
胃は袋状の臓器だから、面積を広げると、それとつながっている大腰筋ていう筋肉が張るんだよ。
そういうふうなロジックで考える。

そうなると、一つの結果が起こるまでに、
色々な原因が組み合わさって、関わってくるわけでしょう。
その中で、どれを治せばいいかってわかるものなの?

一発でわかるっていうわけじゃないんだけど、
一つ一つ順番に原因を調べていくと、わかってくる。

因数分解をやってるみたいな感じだね。
それは、ヒアリングをして聞いていくの?

身体に触れた感覚で、なんとなくわかる。
それは、全然特別な能力っていうわけじゃなくて、
長い間触れ続けて比較対象していくと、統計的にわかるようになるね。

なるほどなあ。
心からくる原因の場合はどうやってわかるの?

それは、ヒアリングの部分と、
あとは、その症状を取り続けてもすぐ戻ってくるもの。
ストレスがキーだと、内臓起因の原因を取ってもすぐに戻ってきちゃうから。
そういうので、ある程度の判断はつくんだけど、
こっちはまだまだ修行中っていう感じ。

それは、ほんと、
具体的な形がないものだから難しいよね。

結局、最後に行き着くところは、統計的なもので。
ずーっと、触り続けること、治療し続けること、しかないと思う。
熱力学エントロピー以外の、今の科学ではわからないエネルギーっていうのはやっぱりあって、
もうちょっと具体的にわかってきたら、言葉にしたいんだけど、
治療の時、ある程度までは感覚で、わかるところはわかるんだよね。

それは、経験でわかってくるものなのかな。

経験もあるし、ある程度は修行をするようにしてる。
朝起きたら、瞑想をしたりね。坐禅のようなものとか。
それを繰り返すしかないからさ。
全然悲観してるわけじゃなくて、自分の一生っていうのはこうやって終わっていくんだろうな、って思うんだよね。

わかるなあ。
今やってることを、死ぬまでずっと続けていくだろうってことだよね。
そう思えることをやっているっていうのは、幸せなことだと思うな。

60歳までになるか、70歳までになるかわからないけど、
この繰り返しの先に、今と違った景色がもう2つか3つ、見えるようになってればいいなって思ってる。
(2010年1月 自由が丘「nanaha」にて)


清水宣晶からの紹介】
かんちゃんは、毎月、何十人もの人たちを自分の施術院で治療しながら、多くの人々と直に接している。その施術の評判は、口コミだけでどんどん広がっているのだけれど、一人一人との時間を大切にしている彼は、上限として決めた以上には、施術をする数を増やさない。

かんちゃんは、人と集まることも多いけれど、すごいと思うのは、それがどれだけ大人数の時でも、その場の全員のことにきちんと目を配っていて、直接会っている時にも、会った後にも、必ず一人一人とコミュニケーションをしているということだ。

かんちゃんと話していると、本当にたくさんのことに気付かされるけれど、それは、彼がこれまでの体験を自分の中に取り込んで、それをひたすら考え抜くことで、揺ぎない彼自身の糧としているからなのだと思った。
だから、その話す言葉の一つ一つがすごく心に響いてくるし、共感出来ることもとても多い。彼の気配りの細かさというのは、その、人間への深い理解と愛情から来ているのだと思う。

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