木村孝

基本はサラリーマンです。
たまに太鼓を叩いてます。

安定した生活

(清水宣晶:) たかしが、wafflesを抜けて就職する、という時は、
「やめないで!」とか「一緒にプロを目指そう!」とかいう話しになったんじゃない?

(木村孝:) 「出来ればやめて欲しくない」っていうのはあったと思いますが、
最後は、「まあ、木村さん、そうだよね。」みたいな。
(※wafflesは、たかしが大学時代に所属していたバンドで、根強い人気をもちながら現在もメンバーをかえて活動中)

ん?
「木村さん、そうだよね」というのは・・?

僕、昔から、温かい家庭を築くってことが夢で、
奥さんと、おじいさんおばあさんになっても手をつないで
歩くっていうのが憧れだったんですよ。

チャーミーグリーンだねえ!
そうそう、それそれ。
そのことを聞いてみたかったんだよ。
たかしは、家庭にすごく価値をおいてる人だと思って。

もともと、結婚願望がすごくあったんですよ。
安定した生活とか、平凡な幸せみたいなのに憧れていて。
そういう所もメンバーは分かってくれていたので。

そういうの、すごく新鮮だよ。
なんか最近、「自分のやりたいことを追求するのが幸せ」っていう、
自己実現的な話しを耳にすることが多かったから。

仕事は、まあ、やりたいことができればそれはベストですけど、
あくまで基本は、家族を養うためにやること、みたいな。
家庭を支える奥さん、っていう存在がすごく好きなんですよ。
旦那さんは、奥さんが家で家のことをやってるから頑張れるし、
家に帰ってきて安らげる。
そういう、お互いがお互いを尊重している関係が理想ですね。

いいね。
そういうのを、はっきりわかってるってのが、
オレはすごくカッコいいと思うんだよ。

でも、そういうことでいうと、
ロックミュージシャンとは正反対な夢のわけで。

ほんとだよね。
ミュージシャンといえば「不安定な職業」の代名詞みたいなもんだし。

まあ、あと、
親に大学院まで行かせてもらってるっていうこともありますし、
ドラムだけで食っていくっていう世界に、
飛び込む勇気もなかったわけですよ。
周りも、僕の性格知ってるし、
「居て欲しいけど、止めないよ」って言ってくれて。

いいメンバーだなあ。

同じ、いいなと思える感覚の近さとか、
何も言わなくても伝わる雰囲気があって、
すごくやりやすいバンドだったんです。

それは、音楽性の部分でもそうだった?

いい感じに、音楽の趣味が少しずつズレてて。
まったくズレてるわけじゃなくて、こう、
ちょっとずつ重なるところがある、っていう感じなんですよ。
長年一緒にいたっていうこともあって、
自然に共有出来ている感覚はすごく大きいですね。

マッシュルームの理由

wafflesっていえばさ、
あの、ジャケットの写真の、
たかしの髪型は、いったいどういう経緯でああなったの?


当時、CDを出すにあたって、
どういう方向性でジャケットを作るかって話しになったんですけど。
「どうもキャラが足りないんじゃないか。特に木村さん。」
って言われて。

(笑)名指しで、指摘されたんだ?

「はっちゃけない?」って。

疑問形されても・・。

「前から思ってたんだけど、マッシュルームカットが似合うと思うんだよね。罰ゲームとかで言ってるんじゃなくて」
みたいな話しになっちゃって。
撮影の前日ですよ、髪切ってきたらメンバー爆笑で。

罰ゲームだよ、それ!

それから、ずっとそれで。
会社の、入社式の直前までそれでしたね。

え?
就職面接、その髪型で行ったの!?

行きましたよ。
内定をもらった後、同期が集まる懇親会みたいな会の時、
いきなり「マッシュ木村」っていうあだ名がついて。

ぶははははは!
インパクトあるよなあ。

でも、入社式の時には普通の髪型になってたんで、
「どうしたんだよ、マッシュ!」って、みんなに責められましたね。

髪型が与える印象って、
やっぱりでかいんだね。

それ以来、wafflesを聴きに来てくれるお客さんの中でも、
「木村さんは変な人」っていうイメージになったみたいで。
新宿のタワーレコードで視聴してたら、
ネットの掲示板に「今日、マッシュがタワレコで視聴してた」って書き込みがあったりして、ちょっと怖かったですね。

知らない人にまでマッシュ呼ばわり(笑)。
マッシュ期間はどのくらい続いてたの?

2年ぐらいですね。
あんまりメンテナンスしてなかったんで、
途中、どんどん巨大化してましたけど。

メンテしないと、アフロみたくなるんだな・・。

乙女心と男心

たかしは、話してて思うけど、
ほんとに何でも率直に話すし、隠し事をしない人だね。

自分では、女々しいなあって思うこと多いですけどね。

乙女心がわかるってことなんじゃないかな。
そういう感性の人ってオレ、すごく話しやすいんだよ。

切ないっていう感情を、
僕はすごく愛しているみたいで。

ああ、スピッツが好きってのは、そういうことなんだろうね。
松本大洋が好きっていうのも、それと関係ありそうだし。

まさに、そうですね。
最初、高校時代に「花男」
(※「花より男子」のことではない。「はなおとこ」と読む。)
を借りたんですけど、
あのマンガって、キャラも背景も同じタッチで描かれるから、
すごく読みにくくって、しばらく放置してたんですよ。

わかるわかる。
絵に慣れるまで、すごく疲れるよね。

学校で社会科見学でバスに乗ってどっか行くっていう前の日に、
気が高ぶって眠れない時があったんですけど。

ぶははははは!
遠足とか修学旅行じゃなくて、社会科見学で。

その時、こんな時ぐらいしか読まないだろうと思って、
「花男」をちょっと読んでみたんですよ。
そうしたら、全巻読み終わるまでやめられなくなって、
泣きすぎて、次の日、目はらして学校行きました。

あー、きっと、たかしのツボなんだなあ。
家族愛みたいなテーマだもんね。

そう、家族ものとか、親子ものに弱いんですよ。
強い父ってカッコいいなあとか、
あの奥さんがいるから、花男も好き勝手に生きられるっていう。

オレは、家族ものの中でも、
母親が死んでしまうような話しにすごく弱いよ。
リリー・フランキーの「東京タワー」は、
読みながら電車に乗ってた時、
涙が止まらなくなって、どうしようもなくて困った。

そういうツボって、人それぞれありますね。
家族ものとはちょっと違うんですけど、
「花の慶次」とか、グッときます。

ああ!
でも、自分が傾(かぶ)き者になりたいっていうのとは、
また違うわけでしょう?

絶対無理。
絶対無理なんですけど、単純に、憧れるんですね。
前、電車の中で、若い女の子が「花の慶次」を読んでて、
それだけで、「この子いい」って思いました。

(笑)熱いね!
そんな人いたら、語ってみたくなるなあ。

キダっち(貴田真由美)は、たぶん、
読んだら気に入るんじゃないかと思ってるんですけど。

たしかに。
なにしろ桜井章一の本を愛読してる人だからね。
キダなら、あの男心を理解する気がするよ。
(2009年6月 自由が丘にて)


清水宣晶からの紹介】
たかしは、ものすごく自然体な男だ。
自分を大きく見せようとしないし、そうする必要もない。
どんな話題でもきちんとひろってくれるだけの柔軟さと幅広い知識があって、どんな状況でも、その場の空気にあわせて対応をしてくれる。
それは、はっきりとした軸を持って、自分の頭で考える習慣がついているからなのだろうと思う。だから、話していて安心だし、とても居心地がいい。

他の人に話しを聞いていると、なかなか本心を話してくれないなあと感じることも時々あるのだけれど、たかしの場合はその逆で、あまりに素直に何でも話してくれるので、聞いているこっちがどぎまぎしてしまうぐらいだった。
それも、とても面白い話しばかりだったのだけれど、インタビューとしてまとめるにはちょっとプライベートすぎる事柄と思ったので、残念ながら、そういう部分は、ところどころ削らせてもらうことになった。
たかしの魅力は、直接会って話してみるのが、一番わかりやすいだろう。文章という形ではどうやっても表現出来ない、人をなごませる空気が彼のまわりには流れていて、それは、二言三言、言葉を交わすうちにきっと相手に伝わるに違いないと思う。

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