松田大夢


1995年生まれ。新潟出身。
セブ島でバジャウ族と海で暮らしながらブログとツアーとゲストハウスで生計立ててます。
佐渡ヶ島の高校を卒業3日前に中退→全財産4千円で上京しホームレス生活→国内外放浪→バジャウ族と出会う→ツアー事業を始める→バジャウ族の水上村に天然素材だけで自宅を建てて住み始める→ブログで募ったカンパ40万円で結婚式を挙げてバジャウ族の嫁と電撃結婚→クラウドファンディングで約130万円を調達し、海の上にゲストハウス建設中。

ブログ【松田大夢のクソバカ地球滞在記】http://hiromumatsuda.hatenablog.com/

ビサヤ語を話せるだけで仲良くなれる

(清水宣晶:) おじゃまします。

(※この日は、日本に一時帰国中のひろむさんが滞在する、東京都内のシェアハウスを訪ねた)
どうも、こんにちは。

(松田大夢:) こんにちは。
さっき起きたところです(笑)。


あ、やっぱり寝てましたか。
日本に来てから昼夜逆転してるって話しだったので、そうかなと思ってました。

祐太(※「地球少年」篠原祐太さん)もいますよ。
さっき、「15分後に清水さんが来るよ」って祐太に起こされました。

(篠原祐太:)別にセブ島と時差あるわけじゃないのに。

なんでだろう。
夜に活動することが多くなったからですか?


それもあるかもしれないですね。
ここの住人たち結構、夜中遅くまで起きてることが多いから。

日本に来てから、こっちの寒さにやられてるみたいで。
(篠原さんがストーブをつける)


やっぱり、この時期に日本に帰ってくるとクソ寒いですね。

でも新潟はもっと寒いでしょう。

もっと寒いんですけど、普段セブで半裸で過ごしているんで、それに慣れちゃうと。
寒さへの抵抗力はだいぶ落ちますね。

セブ島では朝早いですか?

そうですね、夜8時、9時くらいには寝ていて、朝は日の出とともに、4時か5時くらいには起きてます。
で、早く起きたヤツって絶対、爆音で音楽かけるんですよ。

ぶはははは!
それで起こされちゃうっていう。

バジャウ族の結婚式って、4日間続くうち2日目は朝から晩まで歌ってダンス踊るんです。
即興で、その場で歌詞作って歌うんですけど。
それを録音したものを、みんなひたすら日中流してます。

(笑)自分が歌ってる歌を。


バジャウ族みんな、歌好きなんですよ。
即興で歌詞作るのを「ラゴラゴバジャウ」っていうんですけど、それ、みんな出来ます。

ラッパーっぽいですね。
ひろむさん、言葉は最初どうしたんです?

一番最初は英語話してました。
はじめは日本人のシェアハウスに住んでたんですけど、家賃高いしつまらないしで、すぐ出たんですよ。
で、フィリピンって結構道で酒飲んでる大人とか多くて、外ふらふらしてたら「アンニョン!」って声かけられて。

(笑)韓国人と思われたんですね。

まだバジャウ族と出会う前のことなんですけど、そこから仲良くなって一緒に飲んだ奴の家に泊まるようになって。
フィリピンのスラムエリアにたくさん友達が出来て、人んちを転々とする生活してました。

ホームレス生活を。

それで、ほんとに3~4ヶ月まったく日本人と会わない時期もあって。
どローカルなエリアでみんなビサヤ語なんで、それで勝手に覚えましたね。

その人たちは、ビサヤ語だけじゃなく、英語も話すんですか?

英語も話しますけど、やっぱり、現地語を使えたら強いんですよね。
僕らでも、外国人に、片言でも日本語で話しかけられたら嬉しいじゃないですか。

うんうん。

それと同じで、現地語話せるだけで、すぐ仲良くなれるんですよ。
それで、よく聞く単語から「それ何て言ってるの?」って聞いて、覚えた単語から使って、っていう繰り返しで覚えましたね。


すごいなあ。
まず、日本語で書いてある文法の教科書が少ないんじゃないですか?

ほとんどそういう情報がないです(笑)。
で、いま話している言葉は、ビサヤ語が8割、バジャウ語が2割なんですけど。
バジャウ語になるとさらに情報少ないですね。

もう、聞いて教わるしかない。

そう、バジャウ語は文字がないんで。
聞いて覚える、の繰り返ししか方法がないです。

セブではとても体調がいい

セブに行ってから、病気はしてないですか?

それが、まったくないんですよね。

おおお!

結構、水道水とか飲んだりするんですけど、全然腹壊さないんですよ。

着いた当初から?


そうです。体調も悪くならないし。
ウミガメとか生で食っても、全然なんもならないですよね。

すごいなあ。
魚は生で食べるんですか?

自分はわりと好んで食べますね。
でも、フィリピン人は生ではあまり食べなくて。
酢でしめてカルパッチョみたいにする料理はありますけど。

そうか、日本人は刺身で馴染みがあるけれど。
世界的にみたら生で食べるほうがマイナーかもしれない。

でもウニとか獲ったらみんな生で食べますね。
ウニとか海藻とか、けっこうとれるんで。
あと、バジャウ族は、ウミガメはよくとってきて。

ウミガメって、たくさんいるんです?

はい、タイミングによって。
小ぶりなのもあれば、かなり大きいのもいて、かなりまちまちですけど、ウミガメは旨いですね。
あと、マンタとかイルカもときどき食べたり。

イルカも!?

イルカはめったにとれないですけど。
本当はとっちゃいけないんで、とれたときは村の中だけで消費したり売買します。
1キロでだいたい120円ぐらい。

ぶはははは!
イルカが1キロいくらって初めて聞いたなあ。

お客さんが来たら、鶏の頭とか足とか買ってそれをフライにして出してますね。

おおお・・・。


鶏の頭がすごい安くて、1キロ50円ぐらいで買えるんですよ。

1キロ50円?
何個ぐらいあるんだろう。

40個ぐらいあります。

すごい(笑)。
それは、どうやって食べるんです?

素揚げしてカリカリにしたり。

ああ、、スナックみたいな感じなんでしょうね。

鶏もウチでヒヨコから育ててて。
ツアーの時はそれをさばいてみんなで食べたりしますね。

向こうの食べ物で、これは日本人は好き嫌い分かれる、ってのありますか?

バロットって知ってます?

あ、知ってます知ってます!
孵化する前の卵ですよね。

あれは、好き嫌い分かれますね。
見た目から食べられないって人多いです。

たしかに、雛に近い形になってくると抵抗あるかもしれない。

あと、キャッサバを粉にして削って水分抜いて固めたものをフライパンで炒める、マラホイっていう食べ物があるんですけど。
バジャウ族の年寄りは、米の代わりにそればっかり食べてる人いますね。

へえー、それは美味しそう。

でも、酸味が強いんで、ゲストであんまり好きじゃないっていう人いますね。

ひろむさん、病院にかかったことは?

ないですね・・。
でも、今回日本に来る直前に、飼っているフィリピンコモドドラゴンに咬まれて。

ぶはははは!
初めて聞く種類の怪我ですよ。


指がぱっくり切れちゃって。
さすがに病院に行って縫ったほうがいいっていうレベルだったんですけど、飛行機乗る当日で時間なかったんで、布でしばってそのまま来ちゃって。
その後、くっついたと思って、スマブラやったらまた傷口開いちゃいました。

激しく動かしすぎて。

まあ、でも治りましたね。
今まで大きなケガしたっていうこともなくて、それぐらいですね。

バジャウ族の人って、海の上に敷いた板の上を歩いてますけど、ああいうところに暮らしてると身体能力高くなるでしょうね。

そうですね、子どもも走って渡っていくし。
年寄りとかでも、普通にすいすい歩いてますし。

村に老人って、結構いるんですか?

村長も73歳ぐらいだし、バジャウ族は結構、年寄りが多いですね。
バジャウ族は、普通のフィリピン人より全然長生きします。

へええ。
なんでだろう。
健康な生活してるんですかね?

食べ物だと思います。
普通のフィリピン人は油っこいものばっかり食べてるんですよ。
でも、バジャウ族はイモだったり、魚をよく食べてるんで、全然食生活が違いますね。

バジャウ族の宗教

シャイマさん(※2016年12月に結婚した、ひろむさんの奥さん)は、日本に来たことはあるんですか?

ないですね。
パスポートがないんで。
今、出生証明書もないから、それを取るために手続きを進めてるところです。


出生証明書がない人は、結構多いんですか?

やっぱり、スラムエリアでは出してない人が多くて。
バジャウ族も、ほとんど出してないと思います。
大人になってから困って出す人もいるんですけど、手続きが面倒で。

じゃ、保険みたいな福祉とかもないし、逆に税金も収めないし、ってことかな。

そう、だから病院とか行く時には結構大変ですね。

出生証明書って、後づけでも出来るんだなあ。
日本だと生まれた病院の証明とかあるけど、後からどうやって証明するんだろう・・?

だから、大人になってから出生証明書取って、年齢が違うんじゃないか、みたいな人もいますね。

ぶはははは!
適当に申告しちゃって。

バジャウ族、結構自分の年齢把握してない人多くて。
聞くたびに年齢変わりますね。

あ、やっぱり。

全然気にしてないんですよね、そういうの。

シャイマさんは、セブ島の出身なんですか?

そう、生まれた時からセブ島ですね。
父親はパラワン島っていう、フィリピン最後の秘境って言われる島に仕事で行ってて。
母親はタビタビ島っていうフィリピンとマレーシアの国境あたりの、島いっぱいあるあたりに住んでました。
スールー海っていう、バジャウ族の発祥の地って言われるところの近くです。

スールー海。


フィリピン、マレーシア、インドネシアの国境付近ですね。

バジャウ族って、フィリピンだけじゃなく、いろんな国にいるんです?

そうです。
もともとはスールー海っていうところで、船の上だけで生活してたんですけど。
やっぱ近代化とかにともなって、住みやすいところに移動するようになって。
それでだいたいのバジャウ族が今、マレーシアとかインドネシアとかの陸沿いの海の上に家を作って住んでますね。

もともと、漁をして生活をしてきた人たちなんですか?

そう、昔は、本当に漁だけで生活してたんですけど、政府とかも陸に住めっていうし、魚も減ってきているし。
あと、スールー海って海賊が多くて治安が悪くなって。
今自分が住んでいる村の村長はセブ島に逃げてきて、それでセブ島のコミュニティーが出来上がったっていう感じですね。

あ、じゃあ、今の村長さんが最初の開拓者なんですね。

そうですね。
村長が今、73歳とかで。
セブ島のバジャウ族の村は、出来てから30年か40年くらいですね。


奥さんはムスリムって言ってましたけど、バジャウ族で、イスラム教はメジャーなんですか?

いちおうモスクとかもあって、バジャウ族の中でも、ムスリムの人は端のほうで固まって生活してます。
本当はそこのムスリムの人たちだけで独立したいみたいなんですけど、村長がそれを許さないみたいで。
割りと、バジャウ族の中でも派閥があったりしますね。

じゃあ、ムスリムの人は少数派なのかな。

本当に豚を食わない、ちゃんとしたムスリムっていうのは、バジャウ族では少数派になりつつありますね。
結構適当なんですよね、向こうの宗教も。
ムスリムって女の人、頭隠すじゃないですか。

はい。

でも、バジャウ族はモスクに行く時だけしか隠してなくて。
なんで?って聞いたら、「暑いから」って。

(笑)たしかに、暑いでしょうね。

ほんとに、それだけの理由なんですよね。

奥さんも、何か生活の中で戒律を守ってたりするんですか?

そうですね、嫁は、豚は食わないですね。
でも、たまに自分が食ってるものとか、豚って知らないでつまみ喰いしたりして。

ぶははははは!
それは、「まあ、いいか」って感じなんですかね。

そう、「美味しい?」って聞くと、やっぱり「うまい」っていいますね。


ムスリムってかなり厳格な印象だったけど、それかなり、僕の中でイメージ変わるなあ。
シャーマニズムというか、土着の宗教も残ってるんですか?

悪霊とかに取り憑かれる人は、たまにいるんですよ。

悪霊。

自分と仲がいい、デンジっていう友達がいるんですけど、デンジの嫁が取り憑かれたのを見たことがあって。
ほんとに人格が別人みたいになって、声とか仕草とか全部変わるんですよ。

へええ。

そしたら、近所の年寄りとかが集まって、呪文とかお経みたいのを唱えて。
それで元通りになってましたね。
その時のことを、後で本人に聞いたら、「全然記憶にない」って言ってて。

ああ、やっぱり。
でも、そういうことが日常で普通に起こるから、ちゃんとそれに対処する呪文とかもあるわけなんでしょうね。

そうやって、悪霊に取り憑かれて人格が変わってる状態っていうのは、自分は何回か見たことありますね。
ゲストハウスを建てたとき、10日間くらいはずっと毎日オバケがいたみたいです。

えええ?
いたみたい、っていうのは、ひろむさんが見たわけではなく?

僕は見なかったんですけど、そのとき、友達10人くらい一緒に住んでて。
普段霊とかまったく見ないっていう人が、見たっていうんですよ。

それは、複数の人が同じものを見ているんですか?

みんな同じもの見たらしいんですよ。
真夜中に階段上がってくる音が聞こえて、子どもが家の中を走りまわったり、髪の長い女の人だったり。

うわー、、
それはいい霊なんだか悪い霊なんだかわからないですね。

でも、その後、急にまったく出なくなって。

日本だと、家を建てる前に地鎮祭とかってありますけど、そういうのあるんですかね。


あるみたいです。
家が完成したらやる儀式とか。
バジャウ族が自分たちで船を作る時も、儀式をやりますね。

病気になった時に、呪術で治したりってのもあります?

子どもが鼻水が出てたり喉が痛い時に、やぎに顔の匂いをかいでもらうと治るっていうのがあるらしくて。
ウチやぎ飼ってたんで、近所の人が体調の悪い子を連れてきて、やぎに顔をなめさせてましたね。
でも、普通に病院にも行きます。

保険がきかないと、結構高いんじゃないですか?

高いです。
でも、「バジャウ族割引」みたいなのもあって。

(笑)そこは、ある程度おまけしてくれるんですね。

狩猟生活をしたかった

ひろむさんは、バックパックでまわったのもアジアでしたけど、もともとアジアに興味があったんですかね。

そうでしたね。
小学生の時はインドがすごく好きで。
たぶん、「ガンジス河でバタフライ」ってドラマを見たからかな。
インドの「旅の指差し会話帳」っていうの買って、単語カードとか作って、使いもしないヒンディー語勉強したりしてました。

そんな頃から、興味はあったんですね。


小学6年生の卒業文集を読み返したとき、「生まれ変わったら何になりたい?」ってページがあったんですけど。
自分のところ見たら、「ピグミー族になって狩猟生活をしたい」って書いてありました。

(笑)ほぼ実現してますね。
ピグミー族じゃないけど、部族で狩猟してるっていう。

そんなこと書いたの忘れてましたけど、小さい頃から変わってなかったんだなと思って。
狩猟生活っていうものに憧れてたのかな。
今、海で魚捕まえてる時が、すごい生きてるって実感して幸せなんですよ。

それは、セブは理想的な場所ですね。

海で魚取るっていうのはほんとに飽きなくて、何時間でも潜ってられます。


魚は素手でとるんですか?

傘を分解して、傘の骨を削ったものをゴムで飛ばして撃ちます。

あ、銛(モリ)を自作するんですね。

「かえし」とかが無いんで、刺さったら逃げないように押さえ込んで。
セブだとあまりでかい魚がいないんですよね。
熱帯魚ばっかりで、ニモとか捕まえてるんですけど。

クマノミを?
そんな小さいやつに、当たります?

全然自分は当てられますね。
今だと、そこらへんのバジャウ族より上手いです。

ぶはははは!
そのクマノミは食べるんですか?

食べます。
ウロコ取って、皮をむいて。
結構、自分のツアーではいっぱい捕まえて、ニモのスープ作ったりしますね。

ニモのスープ(笑)!
家からどのくらい沖に出てとるんですか?

船で10分くらい出せば、海ぶどうと貝が穫れる場所に着いて。
20分くらいで、あまりきれいじゃないんですけど、魚が穫れるところがあって。
1時間くらい出すと、めちゃきれいなところに行けますね。

船は、手で漕いで?

ちゃんとエンジンが入ります。
船もバジャウ族の、木と竹で作った船ですね。
エンジンはホンダが一番人気で、バジャウ族も「日本製のエンジンはすげえ」って言います。

やっぱりそうですか。
そういう場所だと、狩りの能力さえあれば、飢えはしなさそうですね。

ただ、ガソリン使って沖に出ると、
魚だけ捕まえて元をとるっていうのは難しいですね。

そうか、燃料費がかかるから。


タニギっていう魚がいて。
日本でいうオキサワラなんですけど、シーズンになると、男たちはみんな素潜りで捕まえに行きますね。

そんな大きい魚を捕まえる時も、その、傘で作った銛で?

タニギとかマンタとかイルカみたいな大きい魚は、水中銃っていう大きいやつを使います。
船に乗ってると、たまにイルカが併走してくるんですよ。

おお!
なんてロマンチックな光景。

そういうのは、跳んでるところを上から撃って。
バジャウ族からすると、もう食料です。

(笑)味がまったく想像つかないんですけど、美味しいですか?

イルカはめちゃくちゃ旨いですね。
でも、ほんとタイミング次第なんで、めったに捕れないです。
あと、ウミガメも旨いです。
甲羅の裏側までしゃぶりますね。

ウミガメは、動きがゆっくりだから、とりやすそう。

でも、とる時は20メートルぐらい潜ります。

20メートルも!?

ボホール島っていう、セブから高速船で2時間くらいの島にもバジャウ族の村があって。
その村の人は40メートルぐらい素潜り出来るんですけど、「ウミガメ捕まえてきて」って言ったら、すぐに獲りに行ってくれました。

ウミガメとるのも、簡単ってわけではないですね・・。

人生は幸せになるためにある

ご両親は、ひろむさんの行動に何か意見をするっていうことはあるんですか?

もともと自分は、中学出た時に親元を離れて、ばあちゃん家のある佐渡に行って。
その時から「好きなようにやれ」っていう感じで、親が自分の行動に口出しするっていうことは無かったですね。

それはスゴい!

高校の時、海外にバックパッカーで行ったりした時も、親に許可とるんじゃなくて、「行ってくる」って勝手に行ってました。

へええ。

結婚する時も、「結婚するから」っていう感じで。

お!それはさすがに・・
どういう反応でした?

結婚するっていう時に、ブログ書いたんですけど、それが結構SNSとかで拡散されて。
いろんな地元の人も読んだみたいで、そこから父親に伝わって。

それで知ったんですか!?

facebookにコメントの書き込みがありました。

(笑)お父さんも驚いたでしょうね。
結婚式には出席したんですか?

伝わったのが、結婚する2~3週間前で。
「急過ぎるから行けない」って。


ぶはははは!
場所がセブ島だし。

パスポートも持ってないんで。
しかも親は、海外とか絶対行きたくないって言ってますからね。

そうか、ご両親は海外行かない派なんですね。
面白いなあ。
ひろむさんは、学校には違和感ってありました?

学校そのものが結構嫌いで。
小学校の頃から、学校の先生とは全然仲良くなかったです。
高校でも、よく学校サボってバイクで遊びに行ったりしてたら、担任に「立ち直れなくなるぐらいの罵声を浴びせたい」って言われて。

ぶはははは!
その先生も、相当熱いですね。

先生とは、うまくやってなかったですね。
先生が説教とかするんですけど、その言葉に説得力を感じないんですよね。
だいたいの先生って、教員免許取るために大学出て、そのあと先生しかやってないじゃないですか。
「人間の生き方」だとか、何が善くて何が悪い、とか説教された時は全然納得いかなくて。
そういう時はすごく反抗してましたね。


うんうん。

高校の時、バックパッカーで東南アジアをまわった時、自分の価値観とかをすごく考え直して。
そのあと学校戻ったら、「自分、何やってるんだろう」って思っちゃって。
「高校卒業」っていう肩書がつくのがイヤで、卒業の3日前に学校辞めたんです。
なんとなく学校行って、なんとなく進学して就職して、っていうのがすごく恥ずかしくなって。
自分の人生だし、肩書じゃなくて、自分の名前で生きていこうと思って。

それはロックだなあ。
ひろむさんと話してると、穏やかだし、反社会的な雰囲気は全然感じないのに。

結構、左翼ですよ(笑)。
高校辞めて東京に出た時、派遣で結構いろんな仕事をしたんですけど、工場の検品作業のバイトがあって。
それが一番ツラかったですね。
ベルトコンベアーに乗って、油のボトルがひたすら流れてくるんですよ。
それに時々0.1ミリぐらいの小さな焦げがあるらしいんですけど、全然なくて。

その仕事はツラいわ。。

仕事って人生の大きな部分を占めるじゃないですか。
こういう仕事をイヤイヤ続けて、週末だけを楽しみにするって、自分だったら死ぬとき絶対後悔するんじゃないかって気がしたんですよね。
人生って何のためにあるんだろうって考えたとき、幸せになるためにあると、自分は思っていて。
そのために、出来るだけ好きなことに時間を使って、自分がワクワクすることを追求していきたいって思ってます。

自分の船でセブから佐渡まで

バジャウ村にゲストハウスを建てるためのクラウドファンディング、達成しましたね。

そうなんです。
ただ、予定してた予算よりだいぶ上回ってしまって。
もともと50万円くらいで出来るっていう話しだったんですけど、結局今、150万ぐらいかかってて全然足りなくなって。
また資金を集めて、セブに戻って建設作業を続けようと思ってます。

今、どのくらいの完成度なんですか?

建物は8割くらい完成してて。
屋根の一部とかが空いたままで、だいぶ中途半端になってますね。
二階建てです。

海の上に二階建て!?

まわりには高い建物ないんで、すごい風通しいいです。


二階建てを作れるとは思わなかったです。
木で作ってるんですか?

基本的には、ココナツの木と竹ですね。
揺れたりはするんですけど、割りと頑丈ですよ。
広さは、教室2つぶんぐらいで。

結構広いですね。

もともと、ゲストハウス建てたのも、自分ちに、多いとき10人ぐらい泊まってるときもあって、完全にキャパオーバーだったんで。
そのキャパを広くして、もっと気軽に来てもらおうと思って作ってます。

人が集まってる写真見ましたけど、すべてのスペースが人、みたいな密集度でしたね。


ゲストハウスって言っても、みんなで食材買いに行って、調理して食べたり、酒飲んだりもして。
寝る場所提供してるだけじゃなくて、そうやって一緒にいろいろやってます。

住み開きのシェアハウスみたいな感じですね。

嫁の出生証明書の手続きが終わった後、自分が結婚ビザを取ったら事業登録をするつもりです。
そうしたら、語学学校とも提携とか出来るようになるんで、ツアーも本格的にやろうと思っていて。

船は、自分の持ち船があるんでしたっけ?

船はデンジのお父さんに作ってもらったのを使ってます。
屋根もエンジンもまだ付いてないんですけど、ツアーの時なんかはエンジンを借りて、それで出てます。
屋根も藁とかで作って、出来るだけバジャウ族のネイティブの船に近づけたいなと思って。

そうか、船も自前で作っちゃうんですね。

フィリピンって、島がたくさんあって、アイランドホッピングっていて、いろんな島をめぐってシュノーケリングとかやるツアーが結構あるんです。
自分は、2時間くらい離れたところまで行って、干潮の時にしか現れないサンドバーとか、普通は行かない場所によく行くんで、観光客はほとんどいないですね。
未開発の島に行って、そこでみんなでテント張ってキャンプしたり、ウニとか魚とって食べたり、バジャウ族と太鼓叩いて踊ったり、ビーチでのんびりしたり。
そんなツアーをやってます。


かなりオリジナルなツアーだなあ。

フィリピンって小さい島が7000ぐらいあるんで、他の島行くにも、途中でいろんな島通るんですよ。
自分すごい「ワンピース」が好きでなんで、そういうのがすごく楽しいです。

いろんな島を自由にめぐれるんですもんね。

潜る場所によっている魚も全然違ったりするんで、いろんなところで魚捕まえるのも楽しいですね。
2、3年後ぐらいには、バジャウ族の友達のメンバー連れて、船でセブ島からいろんな島めぐりながら日本まで行きたいなと思っていて。

えええ!?
日本まで?

最終的には佐渡ヶ島まで行って、みんなで魚とりたいなって思ってます。

それめちゃくちゃスゴいなあ。
そんな小さい船で行ける距離なんです?

割りと近いんですよ、沖縄とか石垣島って。

そうなんですか。

ほんとだ・・思ってたよりも全然近い。

ルソン島から沖縄までなら、たぶん2日くらいで着くと思います。
関野吉晴って人なんかは、木で船作って、インドネシアから日本までたどり着きました。

そうか、エンジン無しで、風だけで行ったんですよね。

だから、それと比べれば、自分の船なんかはエンジンあるだけでもだいぶ難易度は下がると思うんで。
まあ、台風にだけ気をつけてれば、たどり着けると思いますね。
ビザとかちゃんと取って。
自分の船のサイズだと、フィリピンでは免許要らないんですけど、日本では小型船舶の免許が必要なんで、それを取ろうと思って。

それは面白い。
実際日本に行ける、っていうのがすごいですね。

行く途中でいろんな島をめぐるのが、すごい楽しみです。

ほんと、「ワンピース」の世界だ。
物事が進むペースがすごい早いですよね。
セブに住んで、家建てて、結婚して、っていうのが、あっという間だったでしょう。


ほんとに。
「なんでバジャウ族の村に住んだんだ?」っていろんな人に言われるんですよ。
でも、それはあんまりよくわからなくて。
自分からしたら、最初っから住もうと思って行ったわけじゃなくて、面白そうな、興味が湧いたほうの流れに身を任せてるうちに、気がついてたら住んでただけで。

うんうん。

一年前は、こんな歳で結婚するなんて思ってなかったし。
一年後には何してるのかっていうのが、まったくわからなくて、自分でも楽しみですね。
(2017年11月 東京都内のシェアハウスにて)


清水宣晶からの紹介】
あとほんの3回だけ学校に行けば卒業証書がもらえる。
そんな時、僕だったら、取れるものはとりあえず取っておけという気持ちにきっとなる。
高卒の肩書を持ったからといって、べつにジャマになるものじゃないんだから。
でもひろむさんは、それをジャマだと考えた。

合理性を考えれば、圧倒的に不合理な選択だろう。
その選択によって将来、就職などで不利になる場面がある(かもしれない)。
でも、時間が経ってみれば、それは、しかるべき道だった。
余計な荷物を持たなかったからこそ、何の未練もしがらみもなく、軽々と日本の外へと飛び出せたのだと思う。
実際、今の彼の生活に学歴など何の意味もない。

ひろむさんは、何も持たずに単身バジャウ族の中に入り込んだことで、彼の親友となったデンジさんや、村長たちの信頼を得て、たくさんのものを与えてもらうことが出来た。

ひろむさんが偏見を持たないから、周りの人たちも偏見をもたずに、彼を仲間として受け入れてくれる。
余計なものを持った人は、門をくぐることが出来ない。
それは、言葉は違っても、世界共通の法則なのだろうと思う。

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