見市礁

仕事で使う言葉

(清水宣晶:) 今、見市って、仕事で何を扱ってるの?

(見市礁:) 石油の先物とかの金融商品をやってる。

あー、じゃあ対面じゃなくて、スクリーンを見ながらの取引なんだな。

うん。
電話でお客さんが「何バレル買いたいんだけど、いくらだ?」って聞いてきたら、こっちが何ドルだ、って答えて、向こうが「じゃあ、それでdone」って言ったら取引成立。だから、交渉の過程は2~3秒しかないよ。

それ結構、言葉が通じるかどうかってシビアな問題だなあ。
言ってることわかんないとヤバいよね?

そう、英語環境での仕事って、ロンドンに来て初めてだったから。
最初はね、売りたいって言ってるのか、買いたいって言ってるのかわかんなかったね。

それ、間違ったら大変だな!(笑)

そう、商品を聞き間違えたりとかね。
そうなったら、ふざけんな!って怒られるよ。

そりゃそうだろうなー。

やっぱり、1ヶ月に1回ぐらいは、実際にやった取引と、誰かが思ってる内容が違ったりすることはあるんだけど。
そのたびに、みんなどきどきしながらボイスレコーダーの会話を確認するよ。

英語で仕事は、そういうのコワいなー。
見市ももともと、帰国じゃないでしょ?

うん、帰国じゃない。
慣れるまでに時間はかかったけど、まあ、幸いなことに、今の仕事は複雑な交渉は必要としないからね。

やっぱり見市は、赴任先はヨーロッパを希望してたの?

特に希望はなかったんだけど、来てみたらやっぱりヨーロッパが良かったね。

石油扱ってるから、中近東とかでもあり得たよなあ。

うん、そういうところが好きな人もいるんだけど、オレはあんまり好きじゃないかも知れないな。

日常生活でのコミュニケーション

日常生活では、特に会話での不自由はないの?

買い物でも、聞かれるのはキャッシュかカードかかってことぐらいで、それ以外は別に会話の必要もないからね。

レジでも金額が表示されるから、会話しなくてもなんとかなるか。

でもやっぱり、コミュニケーションで苦労するのは床屋と病院だね。

床屋は難しいだろうなあ。

このあたり刈り上げて、とかさ。
まあ別にそんなに細かく指定するわけじゃないんだけど、コミュニケーションゼロでまかせちゃうと、とんでもないことになるから(笑)。

紀子さん(奥さん)の出産の時は、コミュニケーションは大丈夫だった?

日本の通訳の人が居る病院が一つだけあってさ。
ロンドン駐在の人の奥さんが出産する時にはだいたいそこに行くみたい。

そうか。
じゃあ、海外でも安心だったね。

まあでも、陣痛が近くて急ぎの時なんかは通訳の人がいないことがあるんだけど、専門用語がわからないじゃない?
生死がかかわってるから、それだけは事前に調べていたんだけど。

ロンドンの文化

ロンドンでは、現地の人と交流ってある?

職場の連中と夜に飲みに行ったりはあるね。

ロンドンのパブって、人でごったがえしてるよなあ。

オレは、1、2杯だけ飲んでだいたい帰るんだけどね。

食べずに、飲むだけなの?

そう。最初は、みんな立ちっぱなしで飲んで、よくやるなあと思ったけど、立ってればあんまり長くいないし、意外といいシステムだと思ったよ。

パブって、会社帰りにみんな行くの?

うん、軽く酒だけ飲みに。
向こうの人、あんまり外食ってしないんだよね。

日本と習慣や文化が違うことある?

やっぱり、全体的に優しいよね。
赤ちゃん連れとか、老人とかに、すごく親切にしてくれる。

うんうん。

あとイギリスだと、プラマーっていう職業が確立してるんだよね。

ん?プラマーって何?

水道管とかを修理する職業なんだけどさ。
家の水道がやたら壊れるんだけど、プラマーを呼ばないと使えなくなっちゃう。

それは、日本じゃあんまり聞かない仕事だよなあ。

これがなかなかクセもので、呼んでもすぐ来ないし。
来たとしても、その場で直らなくて「また明日来る」とか言うんだよね。

オレが前に遊びに行かせてもらった見市の家も、シャワーの出がずいぶん悪かったね。

うん、でもあれはちゃんと水は出てるから、壊れてるうちには入らないって言って、大家さんも何もしてくれない。

そうなのか。
確かに、イギリスってどこに行っても水の出は良くない気がしたな。

あと、独身の連中は、木曜とか金曜によくクラブに行ってる。
イギリス特有のカルチャーなのかわからないんだけど、誕生日になると、その本人がパブで自分でパーティーを開くんだよね。

パーティーで、何かやるの?

いや、ただ飲むだけなんだけどね。
で、その勘定は全部、本人が持つの。

んー、それも日本にはない習慣だなあ。
(2008年3月 鎌倉「bowls」にて)


清水宣晶からの紹介】
見市は、大学時代に所属していたKESSという英会話サークルの同期で、今はロンドンに住んでいる。
2006年に僕がイギリスに行った時に、ロンドン郊外にある見市の家に遊びに行かせてもらった。築100年以上あるという一軒家で、そこに奥さんと二人で生活をしていた。
夕方には会社の同僚とバーベキューをやるということで、一緒にスーパーまで買物に行く。見市はどこにいても変わらず、しっかりと着実に生活をしていた。見市は、昔から友達を大事にする男で、予想通り、奥さんとの雰囲気もとても良かった。そしてその奥さんが先日、ロンドンで女の子を出産した。これから見市がどんな家庭を築いていくのか、とても楽しみだ。

対話集


参加型ワークショップ



ヒトゴト検索