五十川藍子

書き手・司会・朗読・ブックコンシェルジュ

昭和51年11月3日生まれ B型。東京都大田区大森出身。
現在は港区在住。

聖ドミニコ学園小学校から高校へ。
高校中退後、俳優仲代達矢氏主宰の無名塾へ入学。その間大検を取得し東京理科大学に進む。建築を学ぶつもりが、競技ダンスに熱中。全国大会準優勝、学長賞をいただくが、製図は大の苦手。親切な友人達に助けられ(本当に感謝しています。ありがとう。)
大学を卒業。卒業後は(株)ゴールドクレストに入社。
2002年に和田清華さんと出会い、あたたかいサポートのおかげでライターに。インタビューが好きで年間約60件こなす。
2006年よりブックコンシェルジュとして活動中。
現在は、ライターのほかに、司会や、朗読の仕事もしています。

■ホームページ「小春日和」
http://www.koharubiyori.com/

五十川メソッド

(清水宣晶:) 藍はつかみどころがありすぎて、どこから聞けばいいか迷うな。

(五十川藍子:) いいね、その入り!
私もそれ、つかーう。

使えない、使えない(笑)。
相手のことをよくわかってる場合じゃないと。

人に質問するって、難しいよね。

難しいよね。
よく知ってる人であっても、やっぱり難しい。

あっきーが今までされたダメな質問は何だった?

漠然とした質問は答えにくいなと思う。
「何やってる人ですか」とか「最近どうですか」みたいな。

答えに窮する質問てこと?

窮するってことはないんだけど、こっちに丸投げされちゃってる感じで、なんかやる気が出ないんだな。
いい質問て、聞き手が楽をしていない質問だと思うんだよ。

たしかにね。
私は、トットちゃん(黒柳徹子)方式はいいと思うな。

ん?
何、トットちゃん方式って?

黒柳徹子の質問ってさ、質問であって質問じゃないんだよね。

ちょっと!?
どういうことですか、それは。

トットちゃんて、まずゲストの相手について勝手にべらべらとしゃべるわけ。
たとえば、「あなたって最近こうしてああして、こうなったのよねー」ってトットちゃんがしゃべったら、ゲストの人が「ちげーよ!」ってなるわけ。

ぎゃははははは!

それか、「そうなんですよ、実はね・・」ってなるかで。
あれ、私すごい好きなんだよね。

それいいね!
その、ゲストが話したくなる感じわかるな。

そう、質問ってことをしてなくて、トットちゃんが勝手にしゃべってると、いつの間にか話しが進むのよ。

プロだなあ、まさしく。
五十川藍子としてはどういう風にインタビューをしてるの?

えー・・。
私まだレベルが低くて、人様に語れないの。

オレが思うには、藍は、「私はこうしてああして、こうなったんだけど」って自分のことを色々としゃべった後に、「で、あなたはどう思う?」っていう風に話しを進めてると思うんだよ。

私、自分の話し多いからねえ。

いや、あれは一つの才能だと思うよ。
自分のことをまず話すってのは、相手の心を開くから。

あらー。
「ほめジョーズ」っていう映画が出来そう!

(笑)「ジョーズ」じゃなくてね。
トットちゃん方式も一つのやり方だけど、
やっぱり、「五十川メソッド」と言うべきものがあると思うんだよな。
それもさ、ムリして話しを出してるわけじゃなくて、
あなたは、自分の話しが得意なわけですよ。

まあ、そこまで話してくれるならこちらも、って思うかもしれないね。

そうそう。

いきなり脱いじゃう、みたいなのかもね。
あー、お風呂入っちゃうんだ、じゃあ私も、って感じで。

ぶはははは!
初対面からいきなり?

最初はまず、わたしが持ってる印象を勝手にぶつけるかもな。

それ、トットちゃん方式なのでは!?

たとえば、理永ちゃん(沢登理永)に対してだったら、
「小学校の時に大好きだった、クラスに一人はいそうな、絶対悪いことはしなさそうな優等生っぽくて、だから、りえちゃんはこういう時にはこういうことするタイプだと思うわ、そういう印象だわー、私。」とか、思ってることをまず言うのね。
そうすると、「違う違う」とか、「そこはそうだね」とか、誤差を言ってくれるじゃない?

そうなるよね。
トットちゃん’(ダッシュ)的なやり方だな。
似てるけど、ちょっとバリエーション加わってる感じの。

もうちょっと仲良くなってきたら、思い出話が増えるかもね。
共有の体験について、「あの時こんなことがあって、私はこう思ったんだけど、あなたはこう思ってたんじゃないかと思うの。」って。

なるほどなあ。
やっぱりそういう会話が出来るってのは才能だと思うな。

インタビュー論

いま聞いたのはまあ、日常の会話でのやり方だよね。
仕事でインタビューをする時にどうしてるのかも、興味あるな。

仕事のインタビュー記事は、目的があるから、普段の会話とはちょっと違ってくるよね。その人を記事にするだけの理由が、まず最初にあるし。

相手に聞く内容とかシナリオって、あらかじめ用意しておくの?

そんなことはないと思うな。
事前の情報量は多いほうがいいから、その人について色々調べてはおくけれど。

相手に会う前に、ある程度記事を書いておいたりはする?

有名な人の場合、情報が多いから、それだけで話しを聞かなくても記事が作れるぐらいのまとめはしておくんだけど。
でも、会ったら化学変化を起こしたいし、他の人とは違う話を聞きたいと思ってる。
ちゃんと調べておかないと、それが違う話しかどうかもわからないじゃない?

それ、わかるなあ。
仕事のインタビューってのは、そうあるべきだよな。
自分が予期しなかったことが出てくると嬉しい?

嬉しい!
嬉しいよー。
予期しなかったことを起こすために会いに行ってるんだもん。
だって、そうじゃなかったら会う必要ないよね。

会わなくても、記事は作れちゃうもんね。
会いに行ったものの、新しいことを聞き出せなくて、「インタビューとして使える話しがまったくありませんでした」ってことはないの?

それは、今までのところないね。
やっぱり、人には何かしら新しいことが起きてるんだよ。
だから、一生懸命こっちが聞けば、必ず何か出てくると思うし。

藍がインタビューの仕事を始めたのってさ、それが好きだったからなの?

ちょっとおこがましいかもしれないけど、最初は向いてると思ってたの。

うん、オレもそう思うよ。

ほんとにー!?
向いてないと思う、とか言われたらどうしようかと思ったよ。

いやいや、かなり向いてるって。

自分がすごく興味を持っている相手に対して、
とにかく何だかよくわからない方法で全速力で近づいていく力は強いと思うな。
インタビューってそういうことなんだと思うんだよね。

そうそう。そこなんだよな!
話しを聞く相手に興味を持てないような時はどうするの?

仕事だと、それはないな。
相手のことを調べるでしょ。
調べると、その相手のことを好きになる。

うんうん。

やっぱりね、好きってのは情報量もあるんだよね。
その人の背景を知れば、興味ないっていう感情にはならないと思う。
誰でも、ステキなところってあるからさ。

いいね、その考え方。
そういうところも含めてやっぱり、かなり向いてるんだと思うよ。

無名塾という選択

藍のこれまでたどってきた足跡で面白いのは、高校を中退していることだなあ。
なかなか出来ないもん、それ。
オレ、高校生の時、高校を辞めるなんて選択肢は一回も思いついたことなかったな。

私も、最初からそう考えてたわけじゃなくて。
高校一年生の時に、私、無名塾に入ったでしょ?
※無名塾:仲代達矢さん主宰の俳優養成所
そこで全国公演があったんだけど、
「藍子は高校生だから、全国公演に連れていけないね」って言われて。
絶対行く!って思って、「じゃあ、学校辞めてきます」って言ったの。

それ、反対されなかった?

お父さんに言ったら、「そりゃマズいだろう」って話しになって。
で、理由を聞いたら、「自分は大学行けなかったのが心残りだったから、藍子には大学に行ってほしい」って言うのね。

うんうん。

じゃ、高校に行かなくても大学行ける方法ってないのかなって思って探したら、大検ていう制度があることがわかったから、それをお父さんに説明したの。
「絶対に大学は行くから、高校辞めてもいい?」って。

そういう流れだったのか。
高校を辞めた時には大検のことも知ってたんだね。
辞めた時は、何年生だったの?

高校一年の秋かな。

じゃあ、高校には一年も通ってないんだな。
藍って、一番最初にアルバイトしたのっていつだった?

中学二年生の時。

早っ!

高校生です、ってウソついてね。

どういうところでバイトしてたの?

大井町のレストラン。

レストランのバイトで中二!?

途中で、バレてたけどね。
「あなた・・中学生じゃない?」って。
わたしも、「はい。」って言って。

ぶはははははは!

「違法だからさ、他の人に言わないでよ」って店の人に言われて、
そのまま続けてたんだけど。

まあ、雇う時に気づかないってのもスゴいけど。
なんでバイトしようと思ったの?

高校に入ったら、演劇の養成所行こうと思って。
親には反対されてたから、お金貯めようと思ってたのね。

自力で稼いで通おうと思ったんだ?
根性あるなあ。

でも、ある時、両親に見つかっちゃってね。
なんでやったの?って聞かれて、理由を話したら、
「じゃあ、アルバイトはしなくていいから、行くなら無名塾に行って」ってお父さんに言われて。

無名塾だったらいいって言ってくれたんだ?

そう。
「何でもそうだけど、くだらないところに行っちゃダメだ。
誰もが認めるところで、トップを走るつもりで行くんだったらいいけど、場末に行ったら人生はつまらないぞ」って。

なるほどなあ!
いいこと言うね。

それで、そこのアルバイトも3ヶ月くらいで辞めてしまったんだけど。

あなた、お嬢様に見えて、実際、色んな経験してるんだね。
ほんと、聞けば聞くほど奥が深い人だよなあ。
(2008年5月 神谷町「ロイヤルホスト」にて)


清水宣晶からの紹介】
藍とは、これまでに、数え切れないほどたくさんの話題について話しをしてきた。だから、今さら話しをすることなど、尽きてなくなっていそうなものなのだけれど、それでも、会う度にいくらでも話しは湧いて出てくる。それは、藍が常に変わり続けて、成長をし続けているからなのだと思う。
僕が藍について、もっとも尊敬するのは、そのコミュニケーション能力の高さだ。初対面であろうが何であろうが、真剣にコミュニケートすると決めた相手に対しては、あらゆる手を尽くして、何としてでも食い込んでいく。
藍はとてもたくさんの本を読んでいる人だけれども、彼女が得ている智恵は、本からよりもむしろ、自分自身が世の中や周りの人々に体当たりした体験から得ていることが多い。だから、その言葉には常に血肉が通っていて、そしていつもリニューアルされ続けているのだと思う。

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