岩下拓

1980年、東京都北区王子生まれ。

20歳より、中国に語学留学や仕事で、西安と上海に計6年半滞在する。2006年、現地の中国人女性と結婚し、翌年に帰国。

現在、中国黄土高原・延安にてほら穴ホテルプロジェクトを進行中。

ヒトゴト中国語版(勝手に姉妹サイト)を企画中。

ブログ
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中国への留学

(清水宣晶:) 岩下家って、家族のつながりがすごく強いけどさ、
今の拓の価値観を作ったものを考えた時に、
やっぱり、家族の影響って大きい?

(岩下拓:) 自分の性格の7割から8割ぐらいは、
兄貴(岩下均)の影響があると思いますね。
小さい時からいつも、「お兄ちゃんのやってることが一番カッコいい」って思ってたから。
(今思うと、思わされてたから?)

それは熱い!!

だからもう、兄貴の好きなファッションとか音楽とかNGOに興味持つとか、
全部が無意識的に、思考回路の中に入っちゃってるんですよ。

一歩先を歩く、先駆者みたいな感じだね。
男兄弟って、そういうところあるんだろうなあ。

シンウェン(※拓の奥さん)も、兄貴に会って、
「ひらちゃんの性格はほとんど、お兄さんゆずりなんだね」って言ってました。

そういうのは、うらやましいな。
拓が中国に興味を持ったのってのも、均の影響は大きかったの?

中国に興味を持ったのは、親父からですね。
高校から大学への進学を決める時に、
外国に留学をしたいとか、外国語を身につけたいっていうことを考えてて。
そのことを相談したら、
「これからは中国が伸びるから、中国関係がいいんじゃない?」って言われて、そこからですね。

高校生の頃から既に留学を考えてたのか。
それで、大学では中国関係の勉強をしたの?

大学では中国語学科に行って、
2年次に、交換留学で西安の大学に留学したんですね。
で、1年間の中国生活がすごく面白くて、そこから、そのまま向こうの大学に編入したんです。

日本の大学を辞めて、中国の学校に入ったのか!
その時は、「ここまで中国に賭けて大丈夫なのか」って不安はなかった?

当時、色んな人に相談をして、
自分の担当教授からは、「北京大とかの一部の大学しか学歴として認められないぞ。リスクが高すぎるから、やめたほうがいい」って断言されてたんですけど、多苗さん(多苗尚志)の紹介でいろんな人からもアドバイスをもらったり、セリさん(黒澤世莉)に話した時に「面白い人生にはなるよね」って言ってくれたり。
なんとなく、これで大丈夫なんだ、とは思いましたね。

周りにいたのがそういう、
背中を押してくれる人たちだったってのは、良かったなあ。
中国語って、どのぐらいでわかるようになった?

2年とか3年ぐらいですかね。
最初の1年ぐらいは、一応わかっても、コミュニケーションレベルがすごく低いから、たいした話しが出来ないんですよ。

外国語って、どの言葉でもそれぞれの難しさってあると思うんだけどさ。
他の言語と比べた時、中国語特有の難しさって何なんだろう?

やっぱり、みんな発音が難しいって言いますね。

四声ってやつだよね。
話すのも、聴き取るのも難しい?

四声もそうなんですけど、「N」と「NG」の違いとか、すごく微妙な違いのものがあって、そういうのは難しいです。
やっぱり言葉を覚える難しさっていうのは、どの言語もあまり変わらないんじゃないかと思いますね。勉強すればするほど、難しくなるんじゃないかな。
しゃべれるようになると、すごくいいと思うのが、
友達になれるスピードが速くなるんですよ。

ああ!それはあるだろうね。

前に、ショックだったのが、僕がすごく仲のいいと思ってた中国人の友達がいて。
その時、中国語が流暢な日本人の先輩が遊びに来たんですけど、
彼と話した時、すごく濃い話をしてて、速攻で仲良くなってるんですよ。

(笑)わかるわかる。
ある程度以上の内容が話せないと、なかなか深く関われないよね。

やっぱり、仲がいい友達が出来るってのが、一番楽しいです。
そうしたら、恋愛のことでも政治のことでも話しが出来るようになって、
結局、自分たちと同じこと考えてるんだ、ってことがわかって。

面白いね、それ。
そうだろうね。
同じ、人間の考えることだもんな。

他の人にとっては、どうかわからないんですけど、
一つの言語を覚えただけでこんなに世界が広がるっていうのは、
自分にとって、最高に面白いことなんですよ。

いいだろうなあ。
あれだけ広くて人口が多い国だから、
もし中国語が自由に使えたら、ものすごく楽しいだろうと思うよ。

文化と気質の違い

拓ぐらい言葉が流暢だと、
中国にいても、日本人って思われないんじゃない?

南のほうだと、普段は標準語じゃなくて、
自分たちの言葉を話してるから、会話してても気づかれないこともありますね。
自分が少数民族だって言えば信じるし。

その可能性も、中国ならかなりあるよね。
中国の国内は、かなり色々行った?

行きましたね。
田舎のほうに行くと、ほんとにもう昔話みたいな世界がたくさんあるんですよ。
郵便を届けるのに一日かけて馬で行くとか、その途中で熊に襲われて死にそうになったとか。

標準語を知ってれば、
どこでも一応、言葉は通じるの?

どこでもだいたい標準語教育はされてるんですけど、
本当に辺鄙なところに行くと、学校の先生が標準語しゃべれなくて、子供たちもあんまり話せないってことはあります。
でも、テレビはかなり普及してるんで、ほとんどの場所では通じますね。

すごい楽しそうだな!
この前、アラブから帰ってきた友達から、アラビア語で広がる世界を聞いて感動したけど、中国語も相当な広がり方だよね。

一つの国だけで、ヨーロッパの国全部が入る大きさがありますからね。
少数民族の村で、そこの人と仲良くなると、家に遊びに行かせてもらったりするんですけど、
家の中に囲炉裏があって、壁とか真っ黒で、天井に空いてる穴から光が射し込んで、卑弥呼が出てきそうな、幻想的な雰囲気なんですよ。

中国ってほんと、そういう、
絵の中みたいな景色がたくさんあるんだろうな。
やっぱり、中国に住んでると、
カルチャーショックって色々ある?

日本だとあり得ないことは色々起こりますね。
前に、ファンヒーターが、部屋の中で軽い爆発して、黒い煙吐いたんですよ。
で、それで終わると思ったら、いきなり着火して大騒ぎになって。
真冬で窓は凍って開かないしで、大変でした。

最高だよ!そのエピソード。
他には、他には?

コンセントの差込口触って感電しちゃったことがあって、
もうキン骨マン状態ですよ。

ぶははははは!
透けて骨が見えてるって感じね。

ほんと、そんな感じですよ。
泣きたいほど痛かったです。

日本のより電圧高いのかな?

そう、ず太い感じです。

ず太い感じ(笑)。
あとさ、中国人のいいところって、
どんなところか聞きたいな。

日本だと、友達同士でもよく「ごめん」とか「ありがとう」とか言うじゃないですか。
でも、僕の一番の親友にそういう言葉を使うと、本当に悲しそうな顔して「そんなこと言わないでくれよ」って言うんですよ。(笑)
そういう言葉を使うと、疎遠に感じるみたいで。

それ、熱いなあ!

あと、仲間内は、「俺のお金はお前のお金だ」っていう意識なんですよ。
一緒にご飯を食べた時に、「今日はこういう理由だから、自分が払うよ」って説明して払おうとすると、
「いや、いいよ。俺が払う。俺とお前のお金は一緒だから!」って言って。

熱い!!
日本の場合だと、
「今回は私が払うから、次回はよろしく」みたいな感じになるよね。
いったん仲良くなると、
身内だっていう意識がすごく強くなるんだな。

でも、違う場合もあって、日本人からすると同じように見えるんですけど、「今後何か頼みごとする時お願いね」って言う、裏の目的もあったりします。

その、本当の関係ってのはなかなか、
言葉がある程度以上のレベルでわからないと、築けないね。

やっぱり言葉が大切だなって思うのは、
日本で、中国についての本を色々読んだり聞いても、
中国の人に直接聞いてみると、実際はかなり違ったりするんですよ。
本を書いてる人が北京出身の人だとしたら、それが西安や四川では全然違うってこともありますし。

そうだよなあ。
そう考えたら、日本の人が出張でちょっと見たり、
通訳を通して話してる限りは、実体ってわからないんだろうな。

通訳ってすごく難しいと思います。
本当にお互いの国の文化とか性格とかわかってないと、表面だけ通訳しても伝わらないから。
その、裏の意図までを含めて通訳しないと、ちゃんとしたコミュニケーションが成立しないんですよ。

そこまでわかるようになって、
まともに会話出来るようになったら、かなり楽しいね。

まぁ、中国人の場合、ストレート過ぎて、本気で怒ってくるんで、怖かったりしますけど。オブラートがないんですよ。
こう・・ズドッ!ってきます。

ズドッ!てくる(笑)。

やっぱり、感情が熱いんですよ。
すぐに感動したり泣き出したりっていうこともあるし、
言いたいことどんどん言ってくるから、こっちも言いやすいし。
それが、すごく気持ちよくて。
やっぱり、自分の場合は、そこにハマってるんだと思いますね。

人生で表現をする

拓の面白さってさ、こう・・
なかなか、言葉として表れる部分じゃないんだよな。

自分が、言葉が苦手だからかもしれないです。
多苗さんから昔、国語を習ってたんですよ。
大人向けの国語のドリルとか買って。
「のぺぽい大学」っていうんですけど。

ぎゃははははは!
それは、どういうことで?
「お前、国語能力無さすぎだから」って?

そうですね。
たとえば、「・・・、だけど・・・」っていう接続詞で前後の文をつないだ時、
強調されるのは後ろじゃないですか。
そういうことが、教えてもらうまで全然わからなかったんですよ。

国語のドリルで勉強して、成長するものなの?

今の、接続詞の例とかもそうなんですけど、
やっぱり、かなり勉強になったこと多かったです。

拓は、本てよく読む?

まったく読んだことなくて、
大学に入ってから、生まれてはじめて本を一冊読みきったんですよ。笑

それもまた、極端だな!
拓は、得意分野でいうとさ、
表現方法として、何で伝えることが得意なんだろう?

行動力というか、
ちょっと大袈裟になってしまうんですけど、人生自体じゃないですかね。

ああ、わかるなあ。
自分の人生そのもので表現出来るっていうのは、一番の理想だよね。

シンウェンと結婚してるっていうことでも、
かなり自分としては理想的だし、人生に幅ができて、楽しくなって。
既に、親戚の半分が中国人ですからね。

そうか。そういえばそうだね。
オレも似た感覚があって、人と違う、
珍しい経験をするほど喜ぶところあるな。

人がやってないこと、っていうのは自分も常に考えてますね。
もともと目立ちたがり屋だったんで、人と同じことやってても目立たないから。西安に行ったっていうのも、北京とか上海に行く人が多いから、自分はもっと田舎のほうに行こうと思ったっていう理由もあったし。

それさ、どこまで行ける?
どれだけ人と違うところまで道を外れられると思う?

(二人、爆笑)

・・その質問すごいですね。

拓、昔さ、辮髪(べんぱつ)にしてたことあったじゃん?
あれは、反応どうだったの?

すごかったのが、
中国の地方の少数民族で、まだ辮髪の風習が残ってるところがあるんですよ。
そこに行った時、子供たちにかなりびっくりされて。

ぶははははは!
でも、拓のは正式な辮髪とは違ったんだよね。

そうなんですよ。
東京で、カットモデルとして切ってもらったものだから。
で、その村で、ちゃんとした辮髪をやってもらったんです。

ちょっと!?
それそれ。
それ面白い話しだな。

カミソリとかないから、鎌で剃るんです。
だから、すごい痛いんですよ。
ジョリって剃った時、気持ち的には3cmぐらい進んでると思ったのに、実際には1cmも進んでないとかで。
耳も、切れましたもん。

うわー・・(笑)。
それ、どこにある村なの?

貴州省っていうところで、山に囲まれてる場所だから、
経済発展が一番遅れてる所なんですよ。
その辺りでも、その村だけがまだ辮髪の風習が残ってるって話しだったんで、
事前に情報を仕入れて、ここで切ってもらおう、と思って。

ちゃんとリサーチしてから行ったのか!

その村の人だけ、やたら古いカッコしてるんですよ。
腰に刀さしてて、とび職のダブダブズボンみたいなのはいてるし。

日光江戸村みたいな村だな。
その辮髪はさ、西安にいる時の、周りの反応はどうだったの?

結構笑われましたけど、変な意味にはとられませんでしたよ。
あと、これもレアなんですけど、
ミッキーマウス・スタイルにしたこともあったんですよ。

ぎゃははははは!
それはレアだよ!!

語学勉強を猛烈にしてた時に、いろいろストレスがたまってたんで、
どっかで発散しないと、ってのがあって。
笑える髪型にすることで、気を抜くというか・・・。笑

そのストレス解消法、新しいよ。
それ、美容師さんに説明したの?

いや、ルームメイトに切ってもらったんで。

大丈夫なの、それ!?
まあ、プロにミッキー刈り頼むのも微妙だけど。
チャイニーズの女子ウケ的にはどうだった?
「カワイイー♪」とかいう感じ?

「カワイイーけど、ちょっとイカれてるよね♪」って感じでした。

あー、いいね。
わかってくれてるなあ。
拓の話しを聞けば聞くほど、オレの中にビシビシ、
中国の魅力が伝わってきてるよ。
(2009年7月 自由が丘にて)


清水宣晶からの紹介】
拓は、真面目で面白い男だ。真面目だからこそ、面白い男だ。
中国の魅力に引き込まれた拓は、留学中、学校の授業の他に、みずから家庭教師を雇って、週6日語学の勉強をしていた。本気でその国の文化に溶け込もうとし、何でも語り合える友達を作り、国際結婚をし、この先も大陸でビジネスを興すことを考えている。

拓の持っている明るさや楽しさは、日本という国にとどまらず、人間が住む世界すべてに通用する、グローバルな資質だと思う。彼がこれから開拓していく新しい土地での経験を将来また聞いて、「こんなことあったんスよ!」と涙目で言う拓の姿を見ながら大笑いする、という図を今からとても楽しみにしている。

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