縄手真人

縄手真人(なわてまさと)
1974年三重県生まれ。現在 横浜市港北区在住。
1993年同志社大学在学中に夜景活動開始。日本初の夜景CD-ROMをネット販売開始。
1997年に夜景ファンの集う夜景倶楽部(会員数1300名)設立。2003年に新日本三大夜景・夜景100選事務局を設立。夜景による地域活性化を目指し、夜景PR活動を展開中。
ゲスト出演番組に、TBS「王様のブランチ」、NHK「熱中時間」、日本テレビ「三宅裕司のドシロウト」、フジテレビ「F2-X」など。
(2008年5月 自由が丘「勇山」にて)

日本一の夜景サイト

(清水宣晶:) 縄手には、やっぱり、夜景サイトのことから聞きたいな。
あの「yakei.jp」は、よく出来てるサイトだと思うよ。
夜景の情報量は、日本一なの?

(縄手真人:) いちおう、そのはず。
じゃあ、サイトを見ながら話しをしようか。


また随分と、機能追加したなあ。
これは、データはCSVファイルで管理してるの?

そう、PCだけじゃなくて携帯版もあるから、CSVでデータを作るようにしてる。
最近は市町村合併とかあって、住所がよく変わるから、そうしないと管理が大変なんだよ。


ん、、これは、行く日を入れると、
夜景が一番キレイに見える時間を教えてくれるの?

そう。
日没の20分後がベストタイムって言われてるんだけど、その時間を教えてくれる。


あと、これは、携帯のGPSの機能で、「周辺の情報を探す」っていう機能があるんだけど、その時に送られてきた位置情報を集めて表示してる。

これはスゴいな!!

あと、管理者側のための機能で、検索した人がいる位置から、一番近い夜景スポットまでの直線距離を、ログとして残しているんだけど。
その距離が長い人がたくさんいる場所は、「ニーズはあるんだけど情報は少ない」ってことだから、そこを重点的に、今後情報を増やそう、っていう参考にしてる。

面白い。
これは素晴らしい仕組みだ。
縄手は、サイトの運営だけじゃなくて、
コミュニティーを作って、オフ会みたいなものを主催して、実際に集まったりもしてるよね。

うん。
夜景の情報を集めているっていうだけだと、もし、何十年かして、オレが死んだら何も残らへんな、と思って。
形のある組織として世の中に残したい、ということも思ったし、もう一つ思ったのが、夜景による地域の活性化っていうことで。
夜景に格付けをして、各地の役所に許可を取って、「新日本三大夜景」とか「夜景100選」っていうものを新しく作ったんよ。

おお!
ちゃんとオフィシャルに認定してもらってるんだね。
「新日本三大夜景」を発表した時は、反響は大きかった?

反響は結構あって。
山梨では、夜景の見える足湯が出来て、土産物のグッズが出来て、旅行業者がツアーを組んだり。

それは、その地域の歴史を変えた感じあるなあ。

夜景サイトが出来るまで

この夜景サイトは、かなり長く続けてるよね。
いつから始めたの?

最初の始まりは、大学の一年目だね。

そうとう長いな!
17年くらい前?
その頃はまだ、インターネットもないよね。

大学の時、男4人でよくつるんでたんだけど。
それぞれに彼女がいて、どうしたら楽しませられるかなっていう話しをしてて。
オレ、あんまり酒飲まないからさ。
で、車があったから、「あ、夜景は喜ばれるんちゃうかな」と思って、みんなでロケハンに行ったりして、いい夜景を探したのがきっかけだね。

最初はじゃあ、仲間内の4人の中だけの活動だったんだな。

そう。
その後、卒業の思い出に、夜景の本を作ろうって話しになったんだけど、オールカラーで作ると200万円かかるってことで、これはムリ、ってなって。
ちょうどその頃、CD-Rが出始めて。

あー、その頃か。
当時はCD-Rって高かったけど、自分でCDが作れるって、かなり画期的だったよなあ。
そこに、夜景の写真とかコメントとかを入れてったんだ?

それと、VB(Visual Basic)で、夜景の検索プログラムを作って、それも一緒に。

ビューアーまで自作したんだ!?

それを1枚3000円で売ったのね。
最初は、それを売るためにホームページを作ったんだけど、頑張った割には、思ったほどそれが売れなくて。
だったら、全部インターネットで公開しちゃおうと思って、夜景のサイトを立ち上げた、っていう。

その頃は、他に夜景サイトってやってる人はいなかったの?

一人だけいた。
でも、CDっていう形で売ってる人はいなかったね。

このサイトのデータって、カロツェリアとかのカーナビに使われてるんでしょう?
これ、本腰をいれて取り組んだら、これで起業出来るんじゃないか?

いやー、たぶんオレ、独立は出来ないタイプだから。
ついサボっちゃうからね。

飽くまでも趣味としてがいいんだ?

そのほうが気が楽かな。

自分で探すという楽しさ

夜景の写真って、銀塩フィルムで撮ってるの?

いや、さすがにデジタルに変えてる。

夜景だと、ちゃんと撮れてるかどうか、現像するまで不安だから、デジカメのほうがいいんじゃない?

そうなんやけど。
でも、デジカメになって楽しみは減ったね。
前は、「ちゃんと撮れてるかな?」ってワクワクする感じがあったんだけど、今はそのワクワク感がなくなっちゃたから。

あー、、そういうものなのか(笑)。

インターネットもそうだよね。
今は、事前にgoogle Mapで夜景が見えそうなところが簡単に調べられるから、便利だけど、感動は少なくなった。
前は地図を見て自分で推理しながら探りあてるしかなかったからさ。

地図?
等高線とか見て、「このあたりがよさそう」って考えるの?

そう。等高線を見てもわかるし、
あとね、茶畑の地図記号がある場所は、結構いいポイントの可能性高いね。

ぶははははは!
茶畑の地図記号!

茶畑は、日当たりがいいところにあるんだよ。
茶の木って背丈が低いから、視界も開けてるし、そこに行くための農道もあって。

スゴい(笑)!
それは、専門家じゃないとわからない目のつけどころだよ。

地図も、全国の細かい地図なんか持ってないから、現地のコンビニまで行って必死で覚えたりね。
今からやる人は、そういう不便さはないから楽だろうけど、楽しみは少ないと思う。

有名な場所に行くだけじゃなくて、自分で調べて探してるんだな。

「眺望がいい場所」っていうマークがついてる地図があるから、それを参考に最初は行ってたんだけどね。
でもそれって、神奈川県でいうと湘南平みたいに、本当に有名なところだけだから、すぐに自分で探すようになった。

外国まで範囲を広げると、
まだまだ、未開拓の夜景がたくさんあるんじゃない?

そう。
今一番行きたいのは、ケープタウンなんだよね。
ケーブルマウンテンていう、断崖絶壁の1000メートルの山があって、そこにケーブルカーがつながってるんだけど。
治安的に、夜には行けないかな。
ブラジルにもさ、キリストか何かが置かれてる山があるんだけど、そこもね。

ブラジルじゃ、ガイドの人とかいないと、夜は難しいだろうな。
戦場カメラマンぐらいの覚悟になるね。

うん。
そこまで危険なところじゃなくても、
行ってみたい場所はまだまだあるで。

オレは、夜景の中でも、工場の夜景ってすごく好きでさ。
横羽線の高速道路から見える、鶴見とか川崎あたりの工場の夜景は最高にいい。
あと、夜の団地の明りもいいなあ。

団地好きの人っているよね。
知り合いのカメラマンの人でもいるんだけど、必ずピタッと、団地の真正面のポイントから撮るらしいね。
高島平団地はおススメだって言ってた。

わかるよ。
あの、高島平の容積率の高さは、たまらない魅力があるからな。

俺が最近ひそかに興味があるのが、棚田なんだよね。

ぎゃははははは!
段々になってる田んぼか。
それはまた、新しい境地だな。

けっこう棚田ファンは多いはずだよ。
「棚田100選」もあるしね。

そんなにたくさんあるんかい。

段々畑に水が張られていて、それに夕日が反射しているところとか、すごいキレイやで。

なかなかいいねえ。
そういうこだわりがある趣味は大好きだよ。
(2008年5月 自由が丘「勇山」にて)

清水宣晶からの紹介】
縄手は、会社員時代の同期だ。新入社員研修の時に同じ班だったということもあって、それぞれの配属が決まった後にも、縄手とはよく遊んだ。
会社では、もう随分エラくなっているはずと思うのだけれど、昔のままおっとりとした関西弁をそのまま残して、家族や趣味のことを楽しそうに話す縄手は、相変わらず若いままだ。
この先も縄手は、いくつになっても遊び心を持ちながら、会って話しをした時には僕を大いに笑わせて、愉快な気分にさせてくれるに違いない。

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