伊藤敦子

「花」は最高のものづくり。
「マクロビオティック」は健康・環境・平和・・・大切なものが詰まったライフワーク。

フラワーデザイナー
フラワーアレンジメント講師
マクロビオティックアドバイザー

生き方は書面に記せないオリジナル。
立ち止まっては考えて、それからまた前に進むのです。

http://renonfleur.jp/millefeuille/
http://www.countryharvest.co.jp/
(2009年1月 渋谷「attic room」にて)

花の魅力

(清水宣晶:) あっちゃんは、色んなものを自分で作ってるけど、
フラワーアレンジメントって、特に面白いね。
「花だ」ってピンときた理由って何かあったの?

(伊藤敦子:) 大きな魅力として、
花って、同じものが二つとないのね。
よく見ると、一つ一つ全部違う表情だし、色も微妙に違うし、
そこがまず楽しいと思ったところなの。

たしかに!
それは自然の素材を使ってるからこそだな。
何か、花の魅力に気づいたきっかけってあった?

深野さん(フラワーデザイナー)との出会い。
先生は男性でクマちゃんみたいなお姿なんだけど、作るブーケやアレンジは本当にかわいいの!

あー、やっぱり、作る人によって全然違うものなんだな。
フラワーアレンジメントってさ、
どういうところにセンスの違いが出てくるんだろう?

わたし、一番最初に花屋に勤めてた時、
たとえば、3000円でオレンジ系の花束を作ってください、って言われたら、
オレンジとか黄色の花を3本ずつ選んで、3~4種類の花で花束を作ってたのね。

うんうん。
まあ、そうするよね。

でも、初めて深野さんにアレンジの課題を出された時、
花を「10種類以上入れろ」って言われたのね。
それまでは3~4種類の花でアレンジしてたから、
最初、その意味がまったくわからなかったんだけど、
先生の中には、3本ずつ入れなきゃいけない決まりなんてなくて
更に、そこにピンクが入っても白でも水色でもいいって言うわけ。

そうか、そこは、アートなんだろうな。
決まったルールなんてないんだね。

ルールなんてないの!私マニュアルとルールが苦手なの(笑)自由!!
そうやってたくさんの色を上手く使うと、すごくかわいくなるのよ。
だから、作るたびに、この色とこの色を組み合わせるとこうなるんだ!っていう発見があって。まさに色のマジック!!
これを教えてくれたクマちゃんのことを私たちは
「色のマジシャン!」って呼んでいるんだけどね。

ロマンチックなクマちゃんだなあ。
前に、紘一(吉村紘一)に、「何を褒められた時に嬉しいか」って質問した時、
彼は「自分のことよりも、自分の作った物を褒められた時が嬉しい」って言ったんだけどさ。
そういう気持ちってある?

それは嬉しいね、人に使ってもらった時も嬉しい。
私がすごく嬉しいと思える瞬間は、
私が作ったウェディングブーケを持って、友達がバージンロードに入場してくる瞬間。

それ、いいねえ!

友達だからこそ、その子のイメージにぴったりのブーケが作れるし
それこそオリジナルだし、作ったものを贈って喜んでもらえるってのは、
やっぱり一番嬉しいね。

マクロビへの道

あっちゃんがマクロビに興味を持ったのは、
何かきっかけがあったの?

いろいろあったけど、『健康オタク』が一番のきっかけかな。
高校の時にダイエットしようと思って
その時、「野菜って、食べても太らないじゃん!」って発見したのね。

発見っつーか・・(笑)
野菜だけ食べてれば、太ることはないだろうね。

朝と昼はもりもり食べて夜は少なめ、
朝はお肉とかケーキも食べるけど、
夜は野菜だけ、っていう。

そういう手法のダイエットが、当時あったの?

自己流。

自分で考えたの!?
理論的に大丈夫なのか、それ?

だって、りんごダイエットとかどうせ続かないし、
食べたいもんは食べたいじゃん。
基本、食いしんぼうだし。

それさ・・
どういう考えで、「朝は食べていい」っていう結論に至ったの?

夜食べないで寝たら、朝もりもり食べられて、
そしたらお通じもよくって。
それがきっかけで、
朝食べて夜は食べないほうがいいって思ったんだろうね。
おなかすいた状態で寝ると、朝、目覚めがいいし。

うん、たしかに、
夜はあと寝るだけだから、食べても意味ないって雰囲気はあるね。

でしょ。
まあとにかく、それで1年で7kgぐらい落ちて。
でも、その後、大学でつきあいが多くなってまた増えて、
減ったり増えたりを繰り返して。
さすがにこれ体に悪いんじゃないかなと思って。

うんうん。

そうこうしているうちに体のことを気にしだして。
で、根本的に食生活を見直そうと思って、
そしたらある日突然マクロビオティックに出会ったの。

マクロビオティックってのは、
どういうものなんだろう?

基本は、玄米菜食。
中国の陰陽ってあるじゃない?
食にも、同じように陰と陽があるんだけど。

体を温める食べ物と、
冷やす食べ物があるっていうよね。

そう、それそれ。
砂糖って陰性のものなんだけど、
女性は、甘いものが好きな人が多いから、
それで冷え性になりやすかったり。

陽性のものばっかりでもやっぱりダメなんだ?

そうね、体が陽性に傾いちゃう。
例えばお肉は陽性の食べ物なんだけど、食べ過ぎると体が
締まりすぎて女性だと難産になってしまうこともあるんだ。
女性はどちらかというと陰性体質の方がいいね。

あー、なるほど。
何がいいか、ってことよりも、
どうバランスをとるか、ってことを考えるんだな。

どちらも大事ね。
あとね、スイーツもあるんだけど、これが簡単なの。
面白いことに。

マクロビの作り方だと?

そう。
普通のスイーツだと、泡だて器とか使って、腕が疲れちゃうんだけど、
マクロビの場合、ざっくり混ぜてボン!みたいな。

材料からして違うの?
砂糖を使わなかったり。

そう、砂糖をあんまり使わないんだよね。
私、否定するのは嫌いだから、ダメとは言いたくないんだけど。
まあ、砂糖は結構、、良くないっていうか、、なんだろうな
まあ・・良いものじゃ・・ない。

ぶははははは!
それ、「ダメ」ってことだろう!

(笑)摂り過ぎるとね。何でもそうだけど、摂り過ぎはよくないからね。
砂糖の代わりに、米飴とか甜菜糖とか、
あとメープルシロップみたいに植物から取ったものを使ったりする。

あー、なるほど。
それだと、味を落とさずに、体にいいものになりそうだね。

そう。
バターを使わずに、植物性の油を使ったり。

普通のスイーツってさ、
レシピの材料を見ると、
「こんなに砂糖やバターたくさん入れてるんだ!?」とか、
びっくりするよね。

思っちゃうね。
私は甘いものが大好きだから、
使う材料については人一倍気にする。

あっちゃんは、聞いてると、
食べ物からの影響を受けやすい体質なんだな。

そうなの。
生まれたときから、牛乳と粉ミルクで蕁麻疹がでちゃったりしてたから。
それも興味を持った理由の一つでもあるだろうね。

自分自身が、身をもって、
食べ物の重要さを感じてるんだな。

すぐに、症状として出ちゃうからね。
でもそれは、病気になる前に教えてくれてるってことだから、
表に出てくるってことは、ありがたいことだと思うよ。

オリジナルでいきたい

あっちゃんの物作りへの情熱って、
特に、女性らしいものへの興味が強い感じがするね。

それはあると思う。
女性特有の感覚を発揮出来るものに、特に惹かれる。

そうなんだよな。
あっちゃんてさ、「男女同権」みたいな、
男がやっているのと同じ仕事を与えなさい、
って主張するような社会との関わり方ではないね。

そういうのはないね。
どちらかというと、女性として生きていきたい。

そこ、はっきりしてるなあ。

でも、完全に家の中に収まっていられるタイプでもないから、
手に職を持って、家のことをちゃんとやりながら、
あいている時間をうまく使って仕事がしたい。

なるほど、なるほど。

料理が好きだったり、花が好きだったりするから、
内面も女性らしいだろうって勘違いされることが多いんだけど、
でも、実際は、気も強いし、やりたいと思ったことはとことん突き詰めるしで、
それほどおとなしい性格じゃないんだよね。

(笑)最初のイメージと違う!ってなっちゃうのか。
でも、そういうギャップがあるってのも魅力につながると思うよ。
手に職を持ちたい、っていうのもさ、
それは、自分自身で経済力を持ちたいからっていう動機じゃなさそうだね。

先に経済力を考えたらやりたいことなんてできないからね。
自分らしく生きたいし、他の人ができることはその人に任せて
自分は自分にしかできないことをやりたい。って思う。
だからついつい人とは違う道を選んじゃう。
オリジナルがいいみたい。

おお。
自分の身の回りの物もそう?

たとえば、買い物に行って、かわいいバッグがあったとするじゃない。
店員さんに「これ最後の一点なんですよ」って言われると、買いたくなくなっちゃう。
「てことは、他に持ってる人が何人もいるんだな」って思って。

そうなんだ!?
普通は、そう言われると、あわてて買いたくなるよね。
最後の一点、じゃなくて、「一点もの」がいいんだな。

そうなの。
例えばヴィ○ンとかって、みんな同じ柄のものを持ってるわけじゃない?
そういうのは、全然興味ない。
(※敦子注:きゃーこんなこと言ってごめんなさい!)

いっそ自分で作ろうって思う気持ちはない?

それは、ある。
自分のブランドを持つのが夢!

「アツコイトウ」ブランドだね。

私ね、物を作りたいって思う一方で、
余計な物は作りたくないとも思っているんだよね。

環境のことを考えると、ってことか。

フラワーアレンジメントでね、
花を挿すのに、フローラルフォームというスポンジを使うんだけど。
それがゴミになるのよ。

あー、花自体は自然に還るけど、
スポンジはゴミになっちゃうね。

そう。しかも、燃えないゴミなの。
そこが胸が痛むところで、先生にそのことを相談したら、
じゃあ「豆腐に挿すか」って言われたんだけど。

んー、豆腐は食べ物だからな・・
ヘチマなんかいいんじゃない?

ヘチマはちょっと硬そうなんだけど(笑)。
生け花の場合は、剣山を使ってて、あれは再利用可能だからさ。
そういう、環境に配慮したものを使いたい。

ゴミにならないスポンジか。
それこそ、「アツコイトウ」ブランドで作ってほしい物だなあ。
(2009年1月 渋谷「attic room」にて)

清水宣晶からの紹介】
あっちゃんとは、本人に会うよりも先に、彼女の創作物である、紙粘土で作った人形のほうに出会った。その人形は、とても丁寧に造形され、キレイに着色されていて、小学校の図工の時間以来久しぶりに、手作りの物が持つ楽しさを思い出させてくれた。

あっちゃんは、その小さな体で、満身の思いを込めて、大きな地球のことを考えているという気宇壮大さがあり、しかも、直接的に自分自身が世の中に対して関わっていこうという意気に満ちている。
あっちゃんがこれまでにたどってきた子供時代からの足跡は、聞くほどにとてもユニークで波乱万丈で、常に物づくりを通して自分を表現する場所を探す旅を続けてきたような道のりだった。
そこでついに出会った、フラワーアレンジメントという世界は、たしかに、これ以上にないくらい、あっちゃんの創造性を余すところなく発揮出来る場所であると思うし、彼女の持つ柔らかな感性にぴったりと合った空間だろうと思う。

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